第142回 参議院国土・環境委員会会議録第3号
平成10年3月11日

本日の会議に付した案件

国土整備及び環境保全等に関する調査

(環境行政の基本施策に関する件)

(公害等調整委員会の事務概要に関する件)

1. 環境庁の環境行政に対する取り組み姿勢について

■岩井國臣君 ただいま鈴木先生から基本的でありまことに含蓄のある話が出まして、大変感銘を受けながら聞かせていただきました。鈴木先生の話は長野オリンピックとの関係でありますが、その話を聞きながら私が思い出しましたのは、東京オリンピックなんですね。

 御案内のとおり、昭和三十九年の東京オリンピックの後、やはりこれからスポーツだと。国民こぞって大いにスポーツをやろう、健康だと。国民皆健康運動というのか、スポーツやろうと。大運動起こるんですね。政府もそれを大きく支援するという形でいろいろな施策が展開されます。そこでいろんな問題が生じてきますが、まずスポーツするにもスポーツする場所がなかったですね、昭和三十九年のころといったら。

 それで目をつけられましたのが河川敷なんですよね。それで、多摩川におきまして、これは結果的に第一次、第二次開放計画というのが行われるわけでありますけれども、積極的に沿線市区町村の運動公園、主としてあのころ運動公園だったと思います、最近は大分様子が変わってきましたけれども、がつくられるんですね。それで出てまいりましたのが自然保護運動なんですよ。したがいまして、今鈴木先生はスポーツと自然との調和の問題を取り上げられたと思いますけれども、東京オリンピックの後出てまいりましたのがその問題なんですね。

 多摩川は自然保護運動発祥の地と言われております。国の方で、当時は環境庁なかったと思いますけれども、自然保護法なるものが制定される前に東京都が自然保護条例をつくるんですね。法律がないのに条例をつくられる、美濃部さんのときですけれども、つくられるわけです。そのターゲットは多摩川だったんですね。多摩川でそういうスポーツと自然との調和をどのように図ろうかと、こういうことだと思います。

 多摩川は自然保護運動発祥の地で、相当強烈な自然保護運動が全国に先駆けて始まります。私なんかも多摩川の所長をやっておりましたので、結構苦労をいたしておりますけれども、いろんな経験を重ねながら、現在では、やはり自然保護団体、住民の皆さんと行政とがやはり連携して、鈴木先生言われるようにバランスなんですよね、バランスを考えながらこれからのいい住環境及び河川環境をつくっていく、大体そんな流れになっておるかと思います。ぜひ、多摩川の歴史というか経緯みたいなものも環境庁の方で十分勉強していただければ大変ありがたいなと思いますが、いずれにいたしましても、自然との共生という問題は大変難しい問題だと思います。しかし、極めてこれから二十一世紀に向けまして重要な問題であることは間違いない、こういうことだろうと思います。

 昨日、大木環境庁長官から所信表明をお伺いさせていただきました。そしてまた、橋本総理は施政方針演説の中で京都議定書の話にも触れられ、そしてダイオキシンの問題にも触れられ、環境ホルモンへの対応についても前向きの姿勢を打ち出されております。

 昨年、河川法が改正されました。これも私の長年の懸案だったんですけれども無事改正されました。大変よかったと思います。河川の整備計画策定の段階で十分な環境に対する配慮を行っていこうというのが一つの眼目になっているんです。従前の河川法の中には環境という言葉が一つも出てこなかったんですね。それで目的の中に環境を入れたわけですね。ということで、今後積極的に河川行政におきましても環境の問題を内部化して取り組んでいこう、こういうふうになっているわけであります。将来世代に良質な環境を維持継承していくということは現在の我々の責務であるわけでございまして、それである以上、環境問題につきましてあらゆるレベルで積極的に取り組んでいくということはもう当然のことだろうと思います。

 きょうもいろいろと議論がございましたけれども、現在、温暖化防止対策として、そしてあるいはダイオキシンのいろんな対策として、あるいは環境ホルモンなど化学物質による環境汚染に対する対策としていろいろ検討が進められておるわけでございます。大量生産、大量消費、大量廃棄といった現在の文明に深くかかわった問題なんですね。まことに重要な問題だろうと思います。構造的な改革による持続的可能な社会を構築していく、こういう観点が極めて重要でございまして、少子・高齢化への対応とともにこれからの我が国におきます二十一世紀の私は二大目標ではなかろうか、こんなふうに思う次第でございます。

 後でエコネット、エコロジカルネットワークの問題にも触れさせていただき、私の考えをちょっと述べさせていただいて若干の質疑をさせていただきたいと思っておりますけれども、まず環境庁長官に、午前中の質疑も踏まえていただきながら、環境行政に対する取り組みの姿勢といったものを改めてお伺いしたいと思います。

■国務大臣(大木浩君) 非常に環境についてはいろんな方面で今御論議いただいておりまして、国民の関心を集めているということでは私非常に力強く感じておるわけですが、二つ私問題、問題というか取り組み方があると思うのでございまして、一つはよく環境庁で盛んにこのごろ使います言葉で、持続可能な発展だとか持続可能な活動、それが生産であれあるいは社会としての発展であれ、そういった持続可能という、これはそういった長いタイムスパンの中でどうやって発展を続けていくか、今までは何かそれこそ先ほどの委員の大量生産とか大量消費というようなお話もございましたけれども、ただ何でも右肩上がりですべて物事が大きくなっていけば、それが、大きいことはいいことだというようなことがあったんですが、それはどこかでやっぱりとまってしまう。やはり、例えば資源というのはどこか有限でありますから、なかなかただただ大きいことはいいことだと言っておられないというような面がある、これが一つあると思いますですね。

 それからもう一つは、これも今の持続可能と同じような考え方だと思いますけれども、いろんな物事と循環して物が動いておると。生産から消費、消費で最後に今度はまた廃棄があるんですが、それを廃棄じゃなくて、できるだけまた循環の中でリサイクルというようなことでもう一遍もとへ戻る、こういうことで今度は時間的というか、物事の動きの流れがやっぱりリサイクルしておる、それが一つあると思うんですね。

 そういった二つのことを、何と申しますか、非常に一般論でありますけれども考えながらこれからの環境行政というものを進めてまいりたい、これは私のやや個人的な感想でありますけれども、そういったことを盛んにいろんな方も言っておられますし、そういった意味でのアプローチというのが一つあるんじゃないかと考えております。

2. 京都会議においての成果について

■岩井國臣君 京都会議での合意成立につきましては、主催国として、そして環境庁長官、議長として大変御苦労いただきました。本当にお疲れさまであったと思います。経済とか貿易に関する外交とともに環境外交の重要性というものを私も実感したような次第でございます。地球益という目標を追求しながら、南北問題あるいは先進国の経済とか貿易というようなことも十分考えながら、全体としてのイニシアチブというものをどうとっていくのか。環境行政の何といいますか、攻防のつばぜり合いみたいなものもいろいろあったんだろうと思いますが、ひとつ今振り返っていただいて、どういう感想というんじゃないですね、重要な点をひとつ御指摘というか、どういうことを思われたかというのをお伺いしたいと思います。

■国務大臣(大木浩君) 京都会議で、日本の立場からいいましても京都会議全体としても二つの問題があったと思うんです。

 一つは、まず先進国、先進国といって京都会議での先進国というか定義はいわゆる先進国のほかに市場経済へ移行中のいわゆる旧ソ連、東欧の国でありますが、そういった国、これだけがひとつ具体的に排出の削減の目標値をつくるということで実質最終的に合意したわけですが、こういった、今便宜的に先進国と言わせていただきますが、先進グループがこの中でどういうふうに数値がまず合意できるかということが一つありました。

 これは御承知のとおりに、アメリカがなかなかゼロ%から動かなかったものですから大分時間がかかりましたけれども、最終段階ではアメリカもやはりいつまでもゼロ%ゼロ%というようなことに、一九九〇年あたりと比較してゼロ%という話ですけれども、それでもやはり九〇年のレベルでとどまっておっちゃいけないんで、今すぐにはできないにしてもだんだんに減らしていくということで、アメリカも七%、それからEUが八%、日本が六と合意できました。

 ですから、この数値につきましては、やはりいろいろな国の資源なりエネルギーの使い方、あるいは温暖化ガスの実際にどういうところから、どういうソースから出ておるかということは非常に違うわけですね。ですから、それをみんな一緒に全く同じ数字でということはこれはなかなか難しいということで、日本は初めからそういうことを言っていたわけでありますが、最終的にはそこのところがそういうことで全部一緒というのは難しいよと、しかし余り大きな差をつけるというのはやっぱりこれまたおかしいというようなことで、まあ今申し上げました日本、アメリカ、EUが六、七、八というふうに比較的近いところで並んだと。ほかの国も、もちろんかなりの差はありますけれども、ある程度差異化を考えながら、しかし全体として五%を超える削減ということに合意したということが一つ価値があったと思います。

 これはしかし、これからその中身を実現していくためにはなかなか日本としてもきついわけでありますから、これは国内措置をきちっとしていかなきゃいかぬということが一つございます。

 それから、今回はいわゆる途上国の方は結局将来に向かって何らのコミットはしなかったと、こういうことになっておりますけれども、ただし、あえていえば、これから先進国とも協力しながら、いろいろと自分たちの国内におきましても、あるいは国際的にもいろいろと検討、勉強していこうと、こういうことでありますから、こういったものも、今回は途上国は具体的に何をするというところまではっきり言っておりません。せいぜい先進国と協力していろいろな措置を進めていくということを言っておるわけでありますから、数量的には全然合意しておりませんけれども、これもやっぱり最終的には中国とかインドといった大きな排出国を含めて温暖化の取り組みに参加してもらわなきゃいけないということでありますから、これは何といいますか、点数をつければ五十点か六十点ぐらいのところでありますけれども、ある程度の取っかかりは少しはつくったということでありますから、今年十一月のCOP4がありますが、COP4以降でこれをさらに強化してまいりたいと、そういうふうに考えております。

3. 温暖化防止の枠組みを定める法律の取り組みについて

■岩井國臣君 これからの問題として、まだその排出権取引の問題でありますとか吸収源の問題など、細部の詰めが残っておるかと思います。アルゼンチンのCOP4で詰めなければならない、そういうことだろうと思いますが、一方で六%削減の国際公約というものを我が国でどのように達成していくのかというふうな問題がございますね。なかなか結構難しい問題が次々と出てくるかと思いますが、京都議定書の批准のスケジュールなんかをお聞きしようと思っておったんですけれども、午前中に岡崎先生の質疑の中でもうお答えいただきましたので。

 ただ、外務省の方からアメリカとの二国間のいろんな話もしながらというふうなお話もちょっとございましたけれども、やっぱり我が国はこういった環境問題について、今後やはり先導的役割を果たすというのか、やっぱり積極的にやっていかなきゃいかぬのだろうと思います。ぜひ、大木環境庁長官のこれからのリーダーシップというものに大いに期待させていただきたいという点を申し上げまして、次の質問に移らさせていただきたいと思います。

 温暖化防止の関連でございますけれども、これも先ほど清水澄子先生から出ておりましたけれども、通産省の法案の関係と省エネ法改正案、そして環境庁の地球温暖化防止法案、これは内容的にかなり似ておるんじゃないかと、こう思うんですね。環境庁長官としては温暖化防止の枠組みを定めるそういった法律、今後どのような考え方で取り組もうとしているのか、これちょっと質問としてはダブるかもわかりませんけれども、改めてひとつお伺いしたいと思う次第でございます。

■国務大臣(大木浩君) 確かに通産省の方から今一つ省エネ法案が出てくるだろうと。それから他方、私どもの方では温暖化防止対策の法案というものを検討中であるということですから、二つの法案が想定されるわけでございますが、何か最近非常に通産省と私の方とで何か権限争いをしておるんじゃないかというようなことが盛んに書かれておりますけれども、もちろん省が違いますから意見が違う面はあります。しかし、法案の準備につきましては別に今特に温暖化につきまして、基本的に権限争いをしているわけでもなければどうしても解決ができないという問題があるというふうにも私は考えていないわけでありますが、

 むしろ省エネ法案というのはとりあえずこれはもう現実にすぐに通産省が今持っておられるいろいろな手法ということでさらに強化できるところでありますから、これはむしろ私どももあえていつまでも通産と意見が合わないから、こちらがまだできていないから、こちらの法案ができていないからそちらも待ってくれと、こういうようなふうに主張するべき性格のものではないと。むしろそれは早くやることはやっていただいて結構じゃないかというふうに考えております。

 それで、その温暖化防止の中の一つの要素ではあるわけですね、この省エネというのは。これは非常に大事なものですからね。ですから、これはもう非常に大事なものであるから、むしろどんどんと進めていただきたい。ただ、将来私どもの方でもいろんな別のものも並べますから、そうしますと、例えば省エネというのはエネルギーの節減ですけれども、それは同時に温暖化ガスの排出量を抑えるという効果もあるわけですから、同じアクションが二つの目的に効果があるというわけですけれども、これは私どもの方でも、だから将来温暖化防止の法案を出すときには、今の省エネ法案との関係ということは考えなきゃいけませんけれども、先ほども申し上げましたように我が方の法案というのはこれはまだ実はいろんな要素が入っておりまして、今すぐにこういうことをやるというのを全部並べるということになかなかいかない。しかし、やはりこれはあくまでこの地球温暖化防止という一つの目的に向かってこれから何年もかかってやっていかなきゃいけないんですから、何と申しますか、あえて言えば政治的な、日本政府の取り組みの意思というのをきちっと示す、それをできれば法案という形で示したいということでございますから、これは早急に出したいということで勉強中であります。

 その中にはいろんな要素がございまして、六%削減ということを焦点にして申し上げますと、一つはいろんな意味での、形での温暖化ガスの排出の削減と、これが一つございますですね。それからもう一つ、先ほどからも議論がございますが、吸収というアクションもあるわけで、これも一つ。これは今のところ科学的な知見が十分得られていないとか、それから、あるいはそちらの吸収のことばかり議論していると実際の排出ガスの方の削減ということの努力がおろそかになるんじゃないかと、いろいろ議論はありますけれども、しかしやっぱりこれから一体何%できるというようなことを議論する場合には、両方二つ並べてきちっと、それが正しく測量できるものならこれは議論の中には入れて決して悪いことではございませんから、そういうものは、だからはっきりしないうちにそれに頼るというのはいけませんけれども、これにつきましても科学的な知見を少しだんだんに積み重ねてまいりたいというふうに考えております。

 それからもう一つ、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、開発途上国との協力あるいは先進国の中での協力等々によりまして、いろいろと国際的な協力によってまた温暖化ガスの抑制をするための共同作業というのはあり得るわけですから、これももちろん実質的に削減につながる話でありますから、こういったものも進めてまいりたいと。そういったものを全部総合した温暖化防止のための法案ということをひとつ考えたいと思っておりますので、どこまでその法律に書き込むかは別といたしまして、私どものこれからの取り組みの全体の姿はただいま申し上げましたような形になるかと思います。

■岩井國臣君 午前中、ダイオキシンの問題がいろいろと議論がございました。ダイオキシンの問題も大変緊急的な課題であろうかと思います。奇形児、発がん性、さらには生殖機能への影響、環境ホルモンにかかわりがあるとされている化学物質であるわけでありますが、我が国の場合、諸外国に比べて大変対策がおくれておる、私なんかはそんな認識を持っておるわけであります。もっと本格的な取り組みを至急に始めなければならないのではないか。旧式の清掃工場を厚生省の新ガイドラインに合格するように新しい清掃工場につくりかえていく、これは膨大な費用が要るんですね。国の方もまことに財政不如意でありますが、地方公共団体もやっぱり財政状況が非常に悪い、問題なんですね。ということであります。その辺を今後どうしていくのか。それから、きょうも出ておりましたけれども、ダイオキシンが多く含まれている焼却灰の処理の問題もありますね。それから、埼玉の話も出ておりましたが、野焼きの問題とか不法投棄の問題とかそんな問題もいろいろとあるんではなかろうか。

 実は、きょうごらんになったかどうかわかりませんが、きょうの日経新聞にPFI、プライベート・ファイナンス・イニシアチブですね、民間主導型の公共事業。今私ども自民党内におきましてもいろいろ勉強をしておるわけでありますが、そのPFIによってごみ発電、あわせて、これはダイオキシンの問題を考えますと、相当の高温、それから安定的に燃焼しなきゃいかぬわけですね。やっぱり高温でなけりゃいかぬわけです。ついでにそれを発電にしようかということなんです。ごみ発電という新しいテーマというものも今出てきておるわけです。恐らく環境庁の方でもいろいろと勉強なさっていると思いますし、既に厚生省でもいろいろと勉強されておるかと思いますが、新しい問題として浮上してきておるように思います。

 私も、今後PFIによるごみ発電ということに積極的に取り組んでいく必要があるんじゃないかな、これから大いに勉強をしよう、至急勉強しよう、こんなふうに思っているところでございます。ごみ発電につきましては、プロレックス方式だとか、きょうもRDFの話が出ていましたけれども、固形化するわけですね。RDF発電、それから溶解炉発電、そういった問題、新しい技術といいますか新しい問題でございますけれども、ヨーロッパなんかには幾つかいろいろと例があるようなので、そういうようなものも私どもといたしましては大いに勉強してやっていかなきゃいかぬ。後日そういった問題につきましてもこの国土・環境委員会で私としては取り上げさせていただきたいなと思っておりますが、本日のところはちょっと時間の制約もありましてそういった問題提起だけをさせていただいて、次の問題に移らせていただきたいと思います。

4. 生物多様性に関する国家戦略の施策の現状と課題について

 次の問題はエコロジカルネットワークの問題でございます。

 まず、生物多様性に関する国家戦略の関係から入りますが、現在及び将来の世代のために生物多様性を保全してその利用を持続可能なものにする必要があるんじゃないかというようなことで、国連環境計画を中心に国際条約の作成が検討されまして、言うまでもなく、一九九〇年から条約交渉が開始された、こういうことですね。そして、生物の多様性に関する条約が一九九二年六月の国連環境開発会議、いわゆる地球サミットの場におきまして百五十七カ国により署名されたと。そして、我が国は十八番目の締約国になったわけですけれども、その後ふえまして現在の締約国は百数十カ国に及ぶ、こういうふうに聞いております。

 生物多様性条約第六条でございますけれども、生物多様性の保全及び持続可能な利用を目的とする国家戦略の策定に関する規定というのがありまして、それに基づき、御案内のとおり、我が国では一九九五年十月に地球環境保全に関する関係閣僚会議におきまして国家戦略が決定された、こういう経緯だろうと思うんですね。

 そこで、まず我が国におけます生物多様性に関する国家戦略の概要につきましてお聞きしたい。そして、施策の現状とこれからの課題というふうなものも含めてひとつお答えいただきたいと思います。

■政府委員(丸山晴男君) 今先生お話しの生物多様性国家戦略でございますが、平成七年十月、お話しのとおり、地球環境保全関係閣僚会議において決定を見たところでございます。

 この内容につきましては、いわば生物の多様性というのが人間の生存基盤であるという一方で、人間活動による著しい減少が懸念されているということを前提にいたしまして、当面の政策目標といたしまして、いわば絶滅のおそれがある動植物を減らしていくという問題、また生物多様性保全上重要な地域の保全を進めるという問題、また生物多様性の構成要素の利用が持続可能な方法で行われているという持続可能性という三つの当面の政策目標を持ち、また長期目標を二十一世紀半ばまでの課題を持ちながら、関係十二省庁での施策と課題をまとめたものでございます。

 現在、この国家戦略に基づきまして、環境庁でございますと、自然共生型の地域づくり事業、あるいは情報センター、多様性センターの整備、また建設省等におきましては多自然型川づくりの事業、その他各省庁におきまして施策が講じられているところでございます。

 この中で、いわば貴重な動植物の保全ということにつきましての理解が進みます一方で、身近な自然の保全を図るという点につきましては、生物多様性への理解の点でいまだ必ずしも十分ではないという点がございます。各施策の生物多様性の観点を反映させるために、関係省庁より一層の連携をとるということが今後の課題であろうかと考えておるところでございます。

5. エコロジカルネットワークの構築の具体的な施策について

■岩井國臣君 いよいよ五全総といいますか新しい国土計画がまとまりつつございます。その新しい国土計画では盛んに地域連携というようなことを言われているんですね。それは結構なんですけれども、私が若干心配しておりますのは、連携というキーワード、これはまことに時宜を得て私としてはいいキーワードだなと思っておりますが、国民レベルで考えたときにまだ共生とか連携といったことについての哲学が希薄というか、例えば自然との共生と口では言うんだけれども、そういった自然についての認識というものがまだまだ希薄ではなかろうかな、こんなふうに思うんです。

 私も実は、これからの二十一世紀におけます大事なキーワードとして共生、コミュニケーション、連携というようなことをふだん言っているんです。この三つの言葉はそれぞれニュアンスが違いますけれども根っこは同じ同根の言葉でございまして、ですから、共生社会を目指すと言ってもいいし、コミュニケーション社会を目指そうと言ってもいいし、連携社会を目指そうと言ってもいいと思うんです。あるいは、ネットワーク社会を目指そうと言ってもいいと思うんです。余りそう違いはないんだろうと思いますが。私は、ネットワークということが非常に大事だろうと。

 今度の新しい国土計画において、私は三大ネットワークと言っておるんですけれども、一つは御案内のとおり高速道路を中心にしました道路のネットワークです。それからもう一つは情報のネットワークなんです、高度情報化といいますかマルチメディアに向かっての情報のネットワーク。そして三つ目がエコロジカルネットワークなんです。この三つのネットワークを私は言っておるわけでございます。

 御存じの方も少なくないと思いますけれども、ヨーロッパでは野生生物の生息空間をネットワークで結んでいこうという動きが活発なんですね。大変活発だと。一九九二年のハビタット指令というのがあるんです。ハビタット指令。加盟国十五カ国なんですけれども、その加盟国がヨーロッパとして一つの考え方に基づいて野生生物の価値の高い生息空間というものをそれぞれ法的に保護していこう、そういうことで大変な運動が進んでおる。民間組織におきましても、Eエコネット、ヨーロッパ・エコロジカルネットワーク構想というものがあるようでございまして、これが大変大きなうねりになっておるようでございます。

 一九九二年の地球サミット、そしてそのとき決められましたアジェンダ21。そして先ほどの生物多様性条約。そういった一連の動きを見るまでもなく、私たちこれからの時代というものは自然再認識の時代である、そういうふうなしっかりした認識に立ちまして生態系保護にかかわる国民的な運動を今後展開していかなければならないのではなかろうか。そのときに環境庁としてぜひ強力にリーダーシップを発揮していただく必要があるのかな。私たちはヨーロッパの人々に負けないふうに、自然に対するしっかりした認識の上に立って、環境先進国の仲間入りをしていかなきゃいかぬなというようなことを痛切に感じるわけであります。

 問題は、行政と民間がどうやって連携していくか、連携しながらそういう運動をどうやって展開していくか。連携でございます。これが大変重要な問題。行政と民間の連携。コミュニケーションということがその前にあるかもわかりません。先ほど言いました共生、コミュニケーション、連携ということが極めて大事ではなかろうか。

 平成七年十一月に、先ほどもちょっと出ておりましたが、財団法人日本生態系協会主催の、生態系の危機、挑戦と課題というテーマでエコロジカルネットワーク・シンポジウムというものが開かれました。

 シンポジウムにおきましては、日本生態系協会の池谷奉文会長が、我が国の生態系というものがどういう危機的状況にあるのか、そういうことについてるるお話しになりました。そして、そのような危機的状況を回避するためにポスト四全総、新しい国土政策でエコロジカルネットワークということを提案されたんですね。俗にエコネットと、こう私どもは言っておるんですが。

 そして、そのシンポジウムにおきましては、オランダからグラハム・ベネットさんという方が来られ、お話をいただいた。ドイツからはヨーゼフ・プラープさんという方が来られ、その方のお話も聞いた。ヨーロッパにおけるエコネットの発展の経緯と現状、そして実践上の課題というようなもののお話をお聞きしたわけであります。

 そして、その三人のそのほか国土庁の方、それから建設省の方も加わりまして、信州大学名誉教授の櫻井善雄先生の司会のもとにパネルディスカッションが行われたんです。

 あのシンポジウムは、我が国の生物多様性の国家戦略の具体化を図る、具体化ということを考えたときに、言うなれば、私流に言いますと国土政策上の立場から考えて私は画期的なことであったのではなかろうかなと思います。あのシンポはすばらしい成果が上がったのではないか、こんなふうに思っております。そして、あれを契機にエコネットというものが徐々に徐々にいろんな人に知られ、いろんなところで言われるようになってきておるのではなかろうか。

 今後、私たちはできるだけ多くの人々が我が国におけますエコネットの構築に向けてそれこそ共生の思想に基づいてコミュニケーションを深め、そして連携していくことが必要ではなかろうか。

 というようなことで、長くなりましたけれども、そこで質問でございますけれども、環境庁は生物多様性に関する国家戦略について具体的にどういう具体的な施策を展開しようとしておられるのかお伺いしたい。

 そして、その際、エコロジカルネットワークの構築につきましては、私は自然の二大要素は水と緑だ、水と緑のネットワークだと、こんなふうに思っているんですけれども、したがって環境庁は、ぜひ建設省とそれこそ連携してやっていくべきではないか。現在もいろいろ御検討中だろうと思います。建設省としてどのように連携してこれからの施策を展開していこうとしておられるのか、その辺も含めてひとつエコロジカルネットワークといいますか生物多様性に関する国家戦略の具体化、具体的施策ということにつきましてお伺いしたいわけであります。

■政府委員(丸山晴男君) 先生の貴重な御所見を賜りまして、大変感謝をいたしております。

 お話しのエコロジカルネットワーク、生態系ネットワークというのは、生物多様性国家戦略の中で長期目標として最も重要な課題の一つというふうに位置づけております。

 当面は必ずしもそこまで至らずに、貴重な動植物の絶滅のおそれから守っていくとかあるいは生態系上重要な地域の保全を図るということを当面の目標にしながら、今お話しの長期目標ということで保護地域を連携しながら野生生物の生息空間のネットワークを図っていくということがいわばある意味で究極の目標というふうに考えているところでございます。

 そういった究極の目標でございますけれども、当面やっていることについて御報告させていただきますと、この生態系ネットワークというのは、今お話しのとおり、森林などの緑地、また河川、湖沼、湿地、海岸などの水辺地の野生生物の生息地を有機的につなげることで確保されるというものでございまして、そういう意味で今お話しの建設省など環境庁以外の各省庁の事業も関係をいたします。それがネットワーク的に有機的に連携をとるということで実施されることが大事でございますので、そういった考え方が具体化できますように、現在環境庁といたしましては緑の回廊構想調査ということを当面、富士、箱根、丹沢地域を想定いたしまして、建設省あるいは林野庁と共同調査を開始しているというところでございます。

 こういったモデル地域を設定して関係機関あるいは学識経験者の参画を得ながら問題点や課題を検討するということによりまして、関係省庁が連携しての計画的な枠組みづくり、また関係省庁と役割分担を担いながら事業を進めていくという体制を整備するということで鋭意進めてまいりたいと考えておるところでございます。

6. 環境庁のエコロジカルネットワークについての今後の取り組み

■岩井國臣君 私などはエコロジカルネットワーク、エコネットと言っておるわけですが、黒川紀章さんなんかは生態系回廊という言葉を使っておられますね。今度の五全総といいますか新しい国土計画におきましてはまた別の言葉が使われると思います。エコロジカルネットワークという言葉はちょっと出てこないかもわか布ですが、ですけれども、言葉はどうでもいいんですね。基本的な物の考え方がそうであればいいわけでありますが、

 要するにそういったことにつきまして国はもっと私は積極的に取り組むべきである、今後環境庁はそういう点でぜひ関係各省庁を引っ張っていただいて、ひとつこういった施策を強力に進めていただきたいというようなことで、その辺も含めまして、環境庁長官の御決意みたいなものをお伺いさせていただければありがたいと思います。

■国務大臣(大木浩君) 先ほども申し上げましたけれども、今我々の何と言いますかいろんな社会活動もそれから経済活動も循環とか持続的なというようなことを言っておりますから、そういったものをひとつさらに発展させるためには環境庁が今まで以上にひとつそれぞれの分野で頑張らなきゃいけないというふうに思っておりますので、大変御激励もいただいておりますので、全力を振るってそちらの方向で努力を続けたいと考えております。

7. 水循環について

■岩井國臣君 時間が大分なくなってきましたので、ちょっと中途半端になるかも分かりませんが、少し水循環の問題について触れさせていただきたいと思います。

 水は自然に循環することによりまして人間の水利用を可能にしておるわけでありますし、水質の浄化だとかそれから生態系の維持、そういった面にも大変重要な役割をしておる、さまざまな機能を持っておるんですね、水というのは。

 しかしながら、都市化の進展によりまして、自然の水循環というものが大変大きく損なわれてきておる現状であろうと思います。湧水の枯渇、ひいては都市河川の維持流量の枯渇化、そういった問題がいろいろと出てきております。そしてまた、いろいろ問題にもなっております。自然保護団体といいますかいろんな地域の人たちから大変大きな問題として今出てきております。

 我が国の水に関する行政は、私も責任者でもあったわけでありますが、これはなかなか水というのは難しいところがございまして、多くの省庁にまたがっておるんです。その辺が多分関係しておるんだろうと思いますけれども、水循環全体をとらえた施策というものがいまだとられておりません。これからの課題だろうと思います。

 しかし、水は雨が降って、谷へ流れ川へ流れ、そして海に注いでまた蒸発して、あるいは一部は伏流水になって地下水にと、これは今循環しておるということでございます。河川や湖沼等の水は伏流水と一体不可分のものでございますし、そしてまた、伏流水というものが地下水と一体不可分のものである。どこで切っても切れないんですね、つながっておる、こういうことでございます。

 したがいまして、河川と湖沼の水の問題を考える場合とか、地下水の問題を考える場合とか、それの水は全部自然の水循環系という観点から、それこそ総合的にやっぱりとらえなければならない、施策の展開におきましてもやっぱり総合的に展開していかなきゃいかぬ、こういうことだろうと思います。

 つきまして、環境庁長官にそういった水循環ということにつきましての基本的認識といいますのか、何かお考えをお聞かせいただければと思います。

■国務大臣(大木浩君) 具体的なまた環境行政での個々の問題については後でまた政府委員の方からお答えすると思いますが、私もこれ環境庁長官を拝命しましてからいろんなところでこの環境環境というのを考えてみますと、私はよく環境庁の陸水空の三部隊と言っているんですけれども、何か防衛庁みたいになりますけれども、やっぱり大気と水とそれから土とそれぞれがいろんな意味で循環しておるわけですよね。その中でも一番はっきりわかるのは、これは水というのが環境行政の中ではこれからさらに注目していかなきゃいかぬだろうというふうに思っております。

 私も環境庁長官になる前も川から海へ行く、それからまたもちろん水ということから考えれば大気の中に水が水蒸気になってまた戻ってくると、ずっといろんな意味での循環があるわけですが、特に川ということを中心にして考えますと、昔から川上から川下へという話でいろんなこれをどうやって我々の行政の中で把握し、きちっとした行政をやっていくかということで議論がございましたけれども、その辺のところを一つ何と申しましすか、先ほどから循環循環というお話があるわけですが、まさに循環としてとらえて、どういうふうに前提としてしかるべき施策を施すかということが非常に大切だと思います。

 あと一つ、うちの方も今の水の方の専門家もおりますの一応具体的な点につきましては主な点を一つ説明させていただきたいと思います。

■岩井國臣君 どうもありがとうございました。

 環境庁の基本的なお考えというものをお聞かせいただいて、そういう考え方で今後強力に環境行政を進めていただけると大いに期待を申し上げる次第でございます。

8. 健全な水循環の確保について

 そこで、ちょっと事務的な話になるかもわかりませんが、昨年二月、もう一年以上前になるのかもわかりませんけれども、健全な水循環の確保に関する懇談会というのが環境庁の中に設けられたんでしょうか、そこでいろいろ検討を進められておられると思うのでございますが、その点と。

 それからもう一つ、ちょっと次にもう一遍にいきますが、地下水の涵養を図るのでもって水循環の確保を図るという観点から、環境庁では井戸・湧水復活再生事業というようなことを建設省と一緒になっておやりになっておると思いますが、ちょっと先ほどの懇談会の概要というか、それに基づいて今後どういうことをやろうとしておるのか、それから建設省と連携してどんなことをやっておるのかというのをちょっと御披露いただければと思うのでございます。

■政府委員(渡辺好明君) 先生がお話しになられましたことがほとんどこの懇談会の結論でございまして、私どもが被っております恩恵、物理的な利水とか気候緩和とかいったそういう物理的な恩恵と同時に、安らぎとかふれあいとかそういうふうな精神的なものも含めまして、この恩恵がいつまで続くんだろうか、放っておけば切れるんじゃないだろうかということからこの懇談会を立ち上げて、一年間ぐらい勉強したわけでございます。

 その中で出てまいりましたポイントは二つございまして、一つは先生のお話にもありましたけれども、ばらばらに対応するのではなくて、流域単位で対応しよう、流域単位ということになれば関係者、関係機関が一つにならなければできないわけでございます。上流の森林から始まりまして、途中の水田、それから工業、生活、海ということになります。

 それからもう一つのポイントは、たくさんのプロセスを通るわけでございますので、そのプロセスの一つ一つにわたって環境へのインパクトを小さくしようということでございます。こういうことがございましたので、私どももこの流域ごとにその水循環がどうなっているかという診断をしてマスタープランを立てて、それを具体的な施策に反映させるということを考えております。

 今先生が御指摘になりました井戸・湧水の復活再生事業、かつてはあちこちにございました井戸や湧水が今や枯渇をし消滅をしております。それをもう一度復活をさせようという事業でございますが、復活をさせるには、やはり上流域で涵養域といいますか、水を浸透させてもらわなければどうにもなりませんので、建設省と、河川法の改正その他の機会を使いましてお話し合いをして、上流部での涵養はできるだけ建設省がしましょう、そして下流部での井戸や湧水の復活整備には環境庁がやったらどうかということで、モデル的に、今年度は手賀沼の流域、それから来年度は一応野川の流域で建設省、環境庁のジョイント事業をやる。こんなことがきっかけになりまして、実は沖縄の対策の中でも、二省庁だけではなくて、五つぐらいの省庁が、沖縄の赤土の流出に関係をする五つぐらいの省庁が上流から海までの対策を有機的に総合して連携してやるというふうな事業に着手をしたところでございます。

■岩井國臣君 あと一分あります。

9. 水循環に関しての建設省との連携について

 他省庁との連携、これは極めて重要だと思います。環境庁が環境問題について、環境行政について強力にリーダーシップを発揮していくと同時に、やっぱり関係する省庁との連携を強化していく必要があろうかと思います。

 建設省以外の省庁ももちろんそうでありますけれども、私は出身が建設省なものですから、しかも水といったらやっぱり河川局との関係が非常に強いと思いますので、特に建設省との連携ということについてひとつこれからの御決意みたいなものをお聞かせいただければありがたいと思います。これ最後にさせていただきます。

■国務大臣(大木浩君) 確かに建設省といろいろと御協力させていただくところが多いと思います。幸いにといいますか、この委員会も国土と環境と一緒に議論していただくということは、私どもがとかく十分には今まで勉強していない国土というところからひとつまた環境をとらえていろいろと勉強するということは非常に大事でありますし、その中で建設省とは既にいろいろなところで協力させていただいておりますけれども、今後ともさらに強化してまいりたいと考えております。

 ありがとうございます。よろしくお願いします。

■岩井國臣君 よろしくお願いいたします。終わります。

築土構木 折々のことばニュース国会発言録インターネットTVプロフィール自由の広場サイトマップ
 
  岩井國臣サイト いわい国臣後援会劇場国家にっぽんriver-ing.com