カジノ合法化に向けた基本方針がまとまりました
平成18年6月20日

 6月16日(金)、自民党の観光特別委員会(委員長:愛知和男)、カジノ・エンターテイメント検討小委員会(委員長:岩屋毅)は、カジノ合法化に向けた基本方針をまとめました。


 基本方針では、当初は2〜3カ所に導入し、将来的には10カ所に拡大し、老若男女を問わず家族でも楽しむことができるテーマパーク、劇場、シネマコンプレックス、ショッピング・グルメモール、スポーツ施設、国際会議場、ホテルなどにカジノを含んだ複合施設として建設を進める予定です。
 来年の通常国会までに議員立法により、「カジノ・ゲーミング法案(仮称)」の提出、2011年度にも国内初のカジノ施設の実現を目指しています。

我が国におけるカジノ・エンターテイメント導入に向けての基本方針
【目次】
1.はじめに 
 カジノ・エンターテイメントとは
 地域振興と国際観光振興に資するカジノ・エンターテイメント
2.基本的粋組み 
(1)法律の目的
(2)許諾の対象
(3)法律の範囲外の行為の禁止
(4)段階的施行原則
(5)対象施行数・地域、段階的施行
(6)外洋クルーズカジノは別枠で検討
(7)主務大臣
(8)国の役割
(9)法律上の(許諾)施行者
(10)(民間)運営受託事業者
(11)国の機関
(12)国による施行の許諾
(13)国による許諾の性格
(14)施行に伴う収益金と費用の分担に関する基本的考え
(15)国による交付金の徴収
(16)交付金の使途
(17)国の機関による規制監視費用等分担金賦課
(18)入場料
(19)収益金の使途(地方公共団体の場合)
(20)国会による施行の監視
(21)一定期間後の法の見直し
3.制度(施行)のあり方:カジノ導入に伴う諸懸念への制度的対応 

3−1 施行に関与する関係者が担う主たる義務等

(1)施行者の義務
(2)運営受託事業者の義務
(3)国の機関の権限と権能

3−2 運営規則・細則等の制定等

(1)営業の運営行為規制・細則等
(2)カジノ施設設置要件等
(3)許諾の認可対象となるゲーム種等の判断
(4)需要抑制に係わる地域独自規制(ルール)の許諾

3−3 施行の健全性・安全性を確保する為の措置等

(1)運営手続き・管理手順等認証要件
(2)重要契約認証・届出義務

3−4 不適格者を施行から排除する為の措置

(1)運営に直接的・間接的に関与する者に係わる欠格要件
(2)運営に直接的・間接的に関与する者に係わる認証取得要件
(3)施行に使用する器具・機材・機械・システム等の製造・販売に係わる主体の適格性認証

3−5 器具・機材・機械等に係わる不正・偽造を防止するための措置

(1)施行に使用される個別の器具・機材・機械・システム等の形式認証並びに利用のあり方に係わる認証等
(2)カジノ場で用いられるチップに係わる特別規定

3−6 カジノ場への入場・ゲーム参加不適格者に係わる措置等

(1)カジノ場への入場、ゲームに参加する者に係わる欠格要件
(2)カジノ場への入場者に対する本人確認要請
(3)施行者による顧客排除

3−7 カジノ場内外における秩序の維持、犯罪を抑止する為の警備・監視に係わる措置等

(1)カジノ場内、近隣施設等における禁止行為
(2)警備・監視に係わる基本的事項
(3)電子式機械ゲームに係わるオンライン監視システムの設置義務
(4)国の機関による監査・監視・検査
(5)カジノ場の警備に係わる都道府県警察との協力関係

 

1.はじめに

カジノ・エンターテイメントとは

  • カジノ・エンターテイメントは、老若男女を問わず家族でも楽しむことができるテーマパーク、劇場、シネマコンプレックス、ショッピング・グルメモール、スポーツ施設、国際会議場、ホテルなどにカジノを含んだ複合施設であり、米国ラスベガスをモデルとし現在世界各地で導入が進められているものである。
  • カジノは、我が国では刑法により明治期から現在まで一貫して非合法な「賭博」として禁止されているが、近年米国をはじめ先進諸国では、罪悪とされるのはカジノにより「不正を行ったりのめりこむこと」であり、カジノ自体は適正な管理の下で施行される限りは「楽しみや気晴らし」というエンターテイメントのひとつとして捉えられていることから、カジノに「勝ちに来る」よりも「楽しい雰囲気の中で時間を過ごす」ことを目的に訪れる訪問客が増えている。
     また、カジノを非合法化するとむしろ多大な収益が裏社会に注ぎ込まれる恐れがあるという考え方から、カジノを国家の厳格な規制監視及び管理下に置くことを前提に合法化し、施行に伴う経済的社会的メリットを肯定的に捉え社会に還元する考え方がとられている。
  • グローバル化と価値観の多様化が進む中で先進諸国は、既存の観光資源のみならず来訪する国際観光旅客の多様なニーズに応える新たな観光資源の開発、都市・地域の活性化などを通じ訪問先としての国の魅力を高めることを政策課題として重視しており、観光における国際競争は激しさを増している。
     この世界的潮流の中で多数の観光客、ビジネス客を惹きつけているカジノ・エンターテイメント施設は国際観光におけるグローバル・スタンダードになりつつあり、現在カジノを合法化している国は、我が国を除くG8各国をはじめすでに120カ国を超えている。
     特にアジアにおいては、近年シンガポールがそのために長年の政策を転換しカジノ合法化を図り、中国においても上海でカジノ・エンターテイメント施設設置を検討するなど国の明確な意思の下に国際観光旅客の取り込みが行われている。
     また、従来からカジノが合法化されていたマカオにおいても近代的なエンターテイメント施設が併設され今や米国ラスベガスに匹敵する規模の家族でも楽しめる観光都市に変化しつつある。

地域振興と国際観光振興に資するカジノ・エンターテイメント

  • 我が国では海外旅行者数と訪日外国人観光客数に約3倍の開きがあることから平成14年より「世界に開かれた観光大国」を目指し、政府を挙げて外国人旅行者訪日促進戦略を進めており、2010年までに1000万人の訪日外国人誘致を実現するために様々な政策を検討し実施している。
  • 我が国が有する歴史、伝統、文化に代表される大変魅力的な観光資源と、それを支える四季折々移ろう自然環境の豊かさ美しさは、世界的にも高い評価を受けており、外国人観光客が我が国を訪れる際の大きな目的となっている。
     今後の我が国の観光振興策も、現在有する豊かな観光資源を活用することを軸にすべきであるが、同時に近年増加しているグローバルに周遊するビジネス客を含めた国際観光旅客と生活スタイルが大きく変わった国民の価値観とニーズの多様化にも対応する新たな観光資源の開発が求められる。
  • 世界各地、特にアジア地域に,おいては所得の増加と余暇の拡大に伴い国境、地域を越える国際観光旅客が急増しており、各国はより多くの訪問客を獲得するために魅力づくりを競い合っている状況である。その中で、既存の観光資源を活用しつつも国際観光旅客の多様化に応える新たな資源として家族で楽しめるカジノ・エンターテイメント施設が注目されている。
  • 我が国はこれまでカジノ・エンターテイメントに関し政策課題として検討することがなかったが、米国をはじめ先進諸国では、国家がカジノを厳格な規制・管理の下に置くことでカジノ・エンターテイメントが生み出す経済的社会的メリットがデメリットを総合的に上回ることが証明されており、その収益は教育、福祉、街づくりなどの新たな財源として用いられ、また、多くの雇用も生み出している。
  • カジノ・エンターテイメントは、それを構成するガジノの収益と他の施設の一体運営により高品質のショー・エンターテイメントをはじめ飲食、宿泊を安価で来訪客に提供することができる。カジノ・エンターテイメントにおける安価なサービスの提供は訪問客にとって大きな魅力であり、このことからカジノはエンターテイメント産業全体の振興に極めて有用な中核施設である。
  • カジノ・エンターテイメントは国際観光振興策としての観光資源であるだけでなく、経済波及効果、収益を用いた新たな財源、周辺地域の税収増・雇用増などをもたらすことから内国人向けの施設としても有効であり、また新たなエンターテイメント産業の創出にも大きく寄与することから、我が国においでも海外の成功事例を参考に一層検討を進め、数年以内の導入実現を図るべきである。
  • 我が国にカジノ・エンターテイメントを導入する際には、これまで非合法とされていたカジノを国家の厳格な規制監視及び管理下に置くことで合法化する仕組みをつくることが不可欠であり、そのために新たな法律の制定が必要とされる。
  • カジノ・エンターテイメント検討小委員会では、先進諸国の事例を比較検討するとともに、関係府省庁とのヒアリングを通して我が国により適した法制度の検討を行った結果、今後の法案作成作業の基本となる考え方として「我が国におけるカジノ・エンターテイメント導入に向けての基本方針」をまとめた。
  • 本年、日本経団連においてもエンターテイメント産業振興の観点からカジノ合法化が提案されたところであり、今後、党における法案作成作業と平行して経済界をはじめ地方自治体、民間団体等と幅広く連携しカジノ・エンターテイメント導入のための国民世論づくりに努めることとする。
2.基本的枠組み

(1)法律の目的

 外国人観光客の拡大及び時間消費型・滞在型国内観光の振興により国際競争力のある観光を実現し、エンターテイメント関連産業育成、雇用創出、地域振興・再生などに寄与・貢献するために、国民並びに来訪観光客にカジノという新たなエンターテイメントを提供し、その収益をもって地方と国の財政に資することを立法の目的とする(このエンターテイメントとしてのカジノをゲームないしはゲーミングと呼称する)。
 また制度創出に際しては、賭博行為が社会に与える危害の縮小化、青少年等に与える悪影響の排除、不正や悪の排除、闇の類似行為の撲滅、公共の秩序安全を図り、ゲーミングを健全かつ安全なエンターテイメントとして国民や観光客に提供するという視点に配慮する。

(2)許諾の対象

 さいころ、トランプなどの器具や、ルーレット、テーブル、電子式機械などの機材・機械などを用いて偶然の結果としてのゲームに金銭などを賭する行為を提供する業をカジノと称し、観光振興や地域振興・地域再生を目的に、特定地域に固定して設置される複合的なエンターテイメント施設をこの法が対象とするカジノとする。
  カジノは単純賭博遊興施設ではなく、複合観光施設(カジノ・コンプレックス)として位置づける。但し、個別地域の事情や観光特性を考慮し、地域独自の判断や創意工夫を容認すると共に、既存の観光資源と新たな施設の融合が同等の効果をもたらすものであっても差し支えない。
 この法律に基づく限り、この法が定義する限定的なカジノ場において、この法が定義する限定されたゲームを実施し、現金ないしはカジノ場においてのみ現金に交換可能な用具(チップ)などを用いて賭け事をなし、ゲームの帰結の賞品として現金ないしはチップを取得することを明示的に許諾する。
 この規定に基づく限り、刑法第185条、第186条の違法性を阻却する。

(3)法律の範囲外の行為の禁止

 この法律の範囲外において類似的行為をすることを禁止とする。インターネット等の手段を用いた類似的行為も禁止となる。この法が限定的に定める手法、範囲、条件、地点においてのみ該当する賭博行為が許諾される。

(4)段階的施行原則

 国民による理解を確実にし、わが国においてカジノの確実な定着を期するため、当面の間施行数を限定し、その効果を評価・判断しながら、段階的にその実現を図ることを基本とする。

(5)対象施行数・地域、段階的施行

 この法において許諾される施行数については、最大10箇所程度とし、当面、国際的・全国的視点からカジノ立地の振興効果を発揮できうる政策的ニーズの高い地域を優先し、2〜3箇所に限定して実施する。
 なお、一定期間後、制度のあり方全体を見直し、施行数・施行地域のあり方が適切か否かを含めて判断することとする。

(6)外洋クルーズカジノは別枠で検討

 外洋を航行する本邦国籍となる大型クルーズ船舶の中におけるカジノは、国際観光振興やクルーズ観光の促進に資する側面があるが、閉鎖された空間で、かつ外洋を広範囲に移動する船舶内での施行となるため、施行者のあり方や管理・監視のための適切な仕組みを工夫する必要があり、上記施行数の枠外でその実現の手法を今後の課題として検討する。

(7)主務大臣

 主務大臣(主務官庁)を定め、この法律を掌理する。この主務官庁については、今後党において関係府省庁と調整する。

(8)国の役割

 国はカジノの許諾に係わる専権を保持する。国は施行が安全かつ健全に、かつまた公正になされることを担保するために、施行の詳細に関する統一的な規則や枠組みを制定し、施行全般を規制するとともに、施行のあり方を監督し、施行を監視する。
 この業務を遂行する為に主務大臣のもとに新たな国の機関を設ける。

(9)法律上の(許諾)施行者

 許諾を得て施行できる主体は地方公共団体ないしはその一部事務組合とし、施行を欲する地方公共団体による国に対する申請に基づき主務大臣がこれを許諾する。
 主務大臣は許諾に際しては、予め国の機関の評価と意見を聴くものとし、その許諾に条件を付すことができる。
 国の許諾は取り消し可能な許諾となり、不法行為や脱法行為、あるいは公序良俗に反する行為が施行に伴い生じた場合、主務大臣は一方的にこれを取り消すことができる。
 施行に伴う地方公共団体の直接的なリスクを回避するため、地方公共団体が公共法人を設立し、同公共法人が実質的な施行者となる仕組みについては、引き続き検討する。

(10)(民間)運営受託事業者

 法律上の許諾者たる地方公共団体(ないしはその公共法人)は、カジノ(ゲーミング)施設の企画・開発・資金調達・建設並びに当該施設の維持管理・運営を公募に基づき特定の民間事業者を選定し、契約行為によりかかる運営受託事業者にカジノの実務的な運営を委ねることができる。
 但し、当該運営受託事業者並びにその構成員(経営者、主要管理者、直接的・間接的にゲームの進行や運営に関与する従業員)には別途国の機関からの認証取得が要求され、その清廉潔癖性や適格性が審査の対象になる。認証を取得できない場合には、カジノの運営に関与することはできない。
 施行者と運営受託事業者との間における契約の内容は国の機関の許諾を必要とし、同機関は公共安全や公正な施行の確保という観点から、当該契約の内容に意見することができる。
 地方公共団体による運営受託事業者の選定は提案公募に基づき、競争的手続きを経てなされ、リスクと収益を官民が分担しあい、官民による「協働」で施行を担うことをカジノ運営の基本とする。

(11)国の機関

 国はカジノの施行が安全、健全に為されることを確実にするために、詳細運営規則を制定し、必要な許認可や施行全般の監視・監督を行う目的をもって、新たに国の機関を設ける。
 カジノの業に係わる管理と監視は優れて専門性と継続性を要求される業務であるとともに、国全体の施行のあり方を統一的に監視することが合理的で規制の費用を縮減することができる。
 行政改革の時代において、新たな国の機関を設けることに対する抵抗は強いが、段階的な施行の実現に伴い実際の業務量に応じた最適な組織とし、その肥大化を抑止すると共に、簡素で効率的な組織とする。
 またこの組織の設立・運営に必要となる財源は施行に関与する主体が負担することを基本とする。
 これらの観点を踏まえ、今後詳細な制度設計を行う必要があるが、あり得べき考え方を下記に例示する。
 国の機関として主務大臣の下に独立行政法人「カジノ管理機構」を設立し、詳細運営規則の制定や施行に伴う関係する民間主体の認証、様々な許認可や施行全般の日常的な監視・監督の任にあたる。
 その当初の資本金は国が拠出するが、運営や活動に係わる財源は専ら施行に関与する主体に対する賦課金や施行に係わる関連主体から徴収する料金等を充当し、財政的に自律的な形態をとることを基本とし、国による交付金は無いものとする。
 その設立より実際の賦課金を徴収できるまでの間の初期段階における財源に関してのみ、国の保証による金融機関短期借り入れを可能とし、当該借入金を機構の活動・運営費に充当する。上記と平行し、主務大臣を補佐し、中立的な立場よりカジノ施行に伴う大枠の施策や方針に係わる諮問を実施するために、主務大臣の下に国家行政組織法第8条に基づく合議制の機関となる「カジノ管理委員会」を設ける。
 カジノ管理委員会は民間人を主体とした有識者よりなる委員から構成され、委員は主務大臣により任命されるが、その人選に関しては国会の同意を必要とする。
 なお、上記例示的な考えに見られる公平性・透明性・中立性や国が果たすべき機能を踏襲しつつも、当面の施行にあたり国の担うべき業務量が限定される場合には、行政機構の肥大化を抑え、簡素な政府を志向する意味でも、既存の行政機構や独立行政法人等の仕組みをできる限り活用し、国の機関とする考え方もありうる。

(12)国による施行の許諾

 主務大臣は上記国の機関(以下「国の機関」という。)の意見を聴いて、施行の許諾に係わる基本方針を策定し、閣議に付する。
 基本方針は政策目標、当面実施する箇所数、施行に必要な要件、施行地域・施行主体を選定する手続き、選定の判断基準、段階的な施行実施の詳細手順や判断基準等を定めるものとする。
 施行を希望する地方公共団体は、基本方針に則り、主務大臣に申請し、主務大臣は国の機関の意見を聴いて、施行地域・施行者を定める。この場合、主務大臣は、必要に応じて、関係諸大臣の意見を聴取し、調整する。
 国に対する申請要件には、カジノを施行することに関してのプラス・マイナスの両側面に亘る社会・経済影響度評価の実施、地域住民による理解、法の意図を具体化する企画提案などが必要となり、施設設置地域における公聴会による利害関係者の意見聴取、地方公共団体の議会による議決などが想定される。
 全ての提案が許諾されるわけではなく、提案される施行の内容は法が定める一定の公益を満たしうることが前提になると共に、地域バランスや法目的への提案の合致度、効果などを考慮し、当面の間一定数のみの施行が許諾されることが基本となる。
 なお、地域社会における安定的な施行と法律の目的を着実に遂行するために、施行を欲する申請者たる地方公共団体は、当該カジノ施設が設置されることになる市町村ないしは特別区と共に、近隣の地方公共団体、関連する都道府県などとの一部事務組合として広域自治体を含めた地域単位での収益金の均てんを地域自らが考慮し、提案することが可能な仕組みとする。
 自治体間の責任や収益金の分担等は構成する自治体間で取り決めるべきこととなるが、安定的な施行を期すためにも、施設が設置される市町村・特別区と共に都道府県が果たす主導的役割は極めて重要である。

(13)国による許諾の性格

 国による地方公共団体に対する許諾は、施行者が安全性や健全性を担保する仕組みを実現できない場合や、たとえ許諾を受けても、その実現に障害がある場合、施行途上で不法行為などがあった場合は、主務大臣により取り消される。地域を選定する際に付与される許諾は暫定的な許諾でもあり、安全の確実な施行を期するため、主務大臣により条件が付けられることもある。
 施設を完工し、実際のカジノを運営できる体制が具備され、初めて国による正式な運営が許諾される。

(14)施行に伴う収益金と費用の分担に関する基本的考え

 施行主体が地方公共団体である以上、施行がもたらす収益金は地方公共団体(ないしはその一部事務組合)に帰属する(よって税方式とはならない)が、法律に定める政策目的を遂行するための財源として、国の機関は施行がもたらす施行収益の一定率を交付金として徴収する。
 施行者たる地方公共団体はこの前提のもとで、カジノ施行に係わる事業性を確保し、健全かつ安全な施行の枠組みを実現しなければならない。
 なお、地方公共団体が民間の運営受託事業者との間で収益金と費用、リスクと便益をどう分担するかは、原則地方公共団体と運営受託事業者との協議・交渉に委ねられる。
 但し、ゲームの帰結とカジノ関連投融資に対するリスクは運営受託事業者が担うことが適切であり、施行に伴うリスク及び財政上のリスクが地方公共団体に波及しないことが重要である。
 なお、運営受託事業者は当然の事ながら、その保持する資産、事業、企業所得等に関しては一般企業と同様の課税体系となり、何らかの税法上の恩典が付与されるわけではない。
 なお、施行者はカジノの施行に伴う施設・資産を自ら保有する義務は無く、施行者たる地方公共団体と民間の運営受託事業者との間で適切にそのあり方を取り決めることができる。

(15)国による交付金の徴収

 施行者はゲームの実施に伴う顧客から取得する(費用控除前の)勝ち分総額(ゲーミング粗収益と呼称し、売上に相当する)を確定後、この勝ち分総額に対し、累進率による一定割合の交付金を国の機関に納付するものとする。
 勝ち分総額の確定(即ち交付金算定の対象額の確定)は、国の機関が定める手順に基づき、施行者が毎日一定時にこれを実施する。

(16)交付金の使途

 上記の交付金収入は、国際・国内観光振興、地方と国の財政への貢献など法目的に資する事業に対し支出され、かつ、その使途を限定する。

(17)国の機関による規制監視費用等分担金賦課

 国の機関の全ての運営・維持費用、カジノの規制・監視に必要とされる全ての行政府が負担しうる費用は施行収益並びに施行に関与しうる主体から徴収する賦課金や諸料金などから支弁することを基本とする。
例えば国の機関設立より、実際のカジノが収益を生み出し、負担できるまでの当面の支出は短期銀行借り入れ等により必要 原資を手当てし、複数の施行者・民間受託事業者が選定される段階で、提案された事業規模に応じて過去の費用を按分して回収することとし、以後の費用は毎年主務大臣が前年度実績に応じて各施行者・運営受託事業者に対し、年度毎に規制監視費用等分担金として賦課する(施行者がこの賦課金の負担を契約行為において民間受託事業者の支払義務とすることは差し支えない)ことなども検討すべきである。

(18)入場料

 施行者は、カジノ場への入場者より一定の入場料を徴収することができる。入場料は安定的な税源たりうるが、来訪顧客を抑止する効果もあることから、その採用の適否は当該地方公共団体及び地方議会の判断に委ねる。

(19)収益金の使途(地方公共団体の場合)

 地方公共団体の収益金の使途は、法目的に則り、かつ地方自主権に基づき、適切に当該地方公共団体により判断されるべきとなるが、透明性を増し、市民による理解を得るためにも、予めその使途目的を条例で定めたり、地域社会における社会的セフテイー・ネット構築や施行の安全性・健全性や地域社会の公共安全を担保するために一定の支出などを義務付けるなどの手法が望まれる。
 上記の入場料の使途も同様とする。

(20)国会による施行の監視

 法の適切な施行をモニターし、法の将来的なあり方を検証する意味においても、国会が施行の状況をモニターできる仕組みを工夫する(例えば国の機関による国民に対する適切な情報開示など)。

(21)一定期間後の法の見直し

 カジノの安全かつ健全な発展を期するため、一定期間に亘り、法の施行のあり方を検証し、その後法のあり方自体を見直すものとする。

3.制度(施行)のあり方:カジノ導入に伴う諸懸念への制度的対応
 カジノに伴う不正防止・場内の秩序維持、組織暴力対策、マネーロンダリング対策、青少年への悪影響の防止、過度の賭け事の抑制、カジノ依存症患者対策など、カジノ導入に伴い国民が抱く諸懸念に対して制度的な対応を明確にしておく必要がある。
 このため、国の厳格な規制管理のあり方等について、先進諸国の事例等を踏まえ検討し、以下のように整理した。

3−1 施行に関与する関係者が担う主たる義務等

(1)施行者の義務

施行者は下記義務等を担う。
 施行者の担う責務の一部は契約行為に基づき運営受託事業者に転嫁できる側面も含む(施行者が担う業務と運営受託事業者が担う業務は原則これを明確に約定において峻別する)。
・法令等が定める施行者が担うべき義務の遵守。
・運営受託事業者を管理・モニターしつつ、健全かつ安全な施行を実施し、運営受託事業者と共に、カジノ施設内における秩序維持を期す義務。
・良質な周辺環境の保持、交通渋滞対策等周辺交通の安全と円滑を図る配慮義務先
・社会的に否定的な要素をできる限り縮減する義務。この義務を担保するため、施行者は施行を開始する前に国の機関に対し、社会的施策要綱を提示し、その了解を取得すること。

(2)運営受託事業者の義務

運営受託事業者は主に下記義務等を担う。
・法令・規則・許諾手順等の遵守。
・法令、規則等で定められた各種認証の取得、維持、更新。また変更等の場合の国の機関に対する報告・認証再取得義務。
・国の機関並びに関連省庁に対する定期的諸報告提出並びに運営に係わる必、要情報開示義務、内部監査義務。
・運営受託事業者としてカジノ事業運営の実施と実施に係わる一義的な責任(安全性、公正性の確保、秩序維持、警備・監視義務など)。
・カジノ場内外における防犯上の措置(防犯設備の設置、監視設備などの設置。最新の情報技術システムを活用し、効果的・効率的に不正や偽造・犯罪の防止を図る努力義務)。
・警備保安・監視要綱、社会的施策要綱を主体的に作成し、施行の安全性・健全性と共に、地域社会における否定的側面の極小化に関し、主体的な役割を担う義務。
・国の機関による査察・検査等に対する協力。

(3)国の機関の権限と権能

国の機関はカジノ施行に係わる運営規則制定、評価・認証・監視・検査を担うことが目的となり、その管理、業務、財務及び会計、監督等は法によりこれを規定する。
国の機関の運営に伴う経費は施行に関与しうる主体からの監視分担費用や認証料等手数料を充当することを基本とし、この枠組みの中で収支を均衡させる。

国の機関は、下記権限と権能を有する。
・施行の申請に係わる詳細手順、施行地域選択判断基準、施設設置規準等の制定。
・申請された施行提案の評価の審査、許諾に伴う条件付加等についての主務大臣に対する意見提出。
・違法行為やカジノの健全なる運営に支障をもたらしうる事象が存在すると判断した場合、主務大臣に対する施行者による施行の一時停止や、許諾の取り消し、剥奪等の意見提出。
・施行に関与しうる民間主体(法人・個人)の適格性認証申請受付・調査・審査、関連省庁・機関等からの情報取得、これらとの連携協力による適格要件判断、認証付与、またその更新。違法行為の場合やカジノの健全なる運営に支障をもたらしうると判断される場合、その制限、停止、剥奪の判断。
・施行者と運営受託事業者が締結する契約行為の認証、必要な場合、主務大臣に対する条件付加あるいは是正意見提出。
・許諾ゲーム、許諾ルール等の制定・認証。
・運営手順や監視手順等カジノ施設の運営詳細に係わる細則・規則等の制定・認証。その他、公正性を確保する為に必要なあらゆる手段の行使。
・施行に用いられる機材、器具へ機械、システム等の技術標準設定並びに認証。機材、器具、機械、システム等の製造業者、販売業者等の認証。
・カジノの運営の経営行為に対する監視・検査の実施、不正行為の抑止と違法行為の摘発。この目的の為にカジノ施設への任意立ち入り権、情報への任意アクセス権、経営・運営情報の常時的開示要求権。
・他の国の機関、警察庁、金融庁、都道府県警察などとの連携・協力、海外規制当局との連携・協力情報交換。
・運営受託事業者による受託契約上の債務不履行事由、破産・倒産事由等安全なる施行が確保できなくなった事象の場合の受託契約へのステップイン、暫時的施行停止、修復命令等安全を期すために必要となる緊急避難的措置の実施等。

3−2 運営規則・細則等の制定等

(1)営業も運営行為規制・細則等

 国の機関はカジノ施設の設置に係わる基本的な事項を定め、カジノ施設の設計・整備・管理・運営に係わる規則詳細等を取り決めることができる。

(2)カジノ施設設置要件等

 国の機関はカジノ施設のあり方・設置・内容に関し、一定の要件を定めることができる(例えば教育施設や住宅施設からの一定の隔離。カジノ場における柱などの存在により監視カメラによる全域監視に空白域が生じることを防ぐ配慮。火災・事故等の場合の 顧客退避・避難手法への配慮。施設周囲環境への配慮等)。

(3)許諾・認可対象となるゲーム種等の判断

 カジノ場において提供されるゲーム種、ゲームのルールや運営手法、機械ゲームに関する理論的期待値の設定、適用される射幸性判断基準、最低・最高賭け金規制の採用等は施行者・運営受託事業者の提案にも配慮しつつ、国の機関がこれを定める。
国の機関は射幸性の判断基準を考慮するに際しては、関連しうる省庁の意見を求めることができる。

(4)需要抑制に係わる地域独自規制(ルール)の許諾

  国の機関が定める運営上の規則に拘わらず、地方公共団体は、個別自治体単位で国の規則を超える需要抑制施策を条例で任意に定めることができるものとする(この場合の需要抑制施策とは、例えば運営時間を限定する、外国人観光客を除き内国人のみ利用日・利用時間を制限する、一定の入場料を賦課するなどにより、内国人の利用を抑制する考え方とともに、独自の最低の最高賭け金額を設定し、施設への全体需要を抑制する施策等になる)。
 但し、この場合、国の機関に対する届出を必要とする。

3−3 施行の健全性・安全性を確保する為の措置等

(1)運営手続き・管理手順等認証要件

 施行者及び運営受託事業者による運営手順や管理手順等は、施行者ないしは運営受託事業者による申請に基づき、国の機関による認証・認可の対象とする。
 国の機関は必要な場合、これら手順の改定を求めることができると共に、一端認可された手順の内容変更も全て認証・認可の対象とする。
 これには例えば下記などをも含むが、その他国の機関が必要と判断する事項は、自らの判断により認証・認可の対象とすることができる。
・金銭等取り扱い手順等(チップ受領・管理・保管手続き、現金チップ交換・取引記録管理手続き、現金取り扱いの搬送・計算・収益確定手順、預託勘定設定と利用・対高額取引顧客与信に係る手順等を含む)。
・ゲーム運営手順、警備・監視手順、監視・警備施設利用維持管理手順等。
・器具・機械・システム等維持管理・取り扱い手順等。
・会計・財務手続き手順等。
・内部監査・外部監査手順等。
・財・サービスの納入業者・サービス提供業者適格性判断基準、取引等記録保持手順等。
・マネーロンダリング防止に係わる記録・報告手順等。
・職員コンプライアンス教育手順・マニュアル等。

(2)重要契約認証・届出義務

 施行者が運営受託事業者と締結する契約は国の機関の認証を必要とする。
 施行者ないしは運営受託事業者はカジノの開発・整備・維持管理・運営に関し、一定金額以上の契約を第三者と締結する場合には、その内容を国の機関に届出なければならない。
 国の機関は内容検証の為に契約の写しを要求することができ、契約の重要性次第では契約自体を認証の対象とすることができる。

3−4 不適格者を施行から排除する為の措置

(1)運営に直接的・間接的に関与する者に係わる欠格要件

 カジノの運営に直接的岬間接的に関与しうる民間主体は、個人・法人に限らず一定の欠格要件を設ける。
例えば犯罪歴・不正行為歴のある主体、組織暴力団ないしはその関係者などカジノに関与することが適切ではない個人・法人はカジノの運営に一切開与することはできない。
 また、例え欠格要件を満たさない場合においても、その適格性が国の機関により認証され、かつその認証の内容が保持されなければカジノに関連した業務に従事することはできない。

(2)運営に直接的・間接的に関与する者に係わる認証取得要件

  カジノの運営に直接・間接に関与することを欲する主体は国の機関に申請し、自らの適格性と清廉潔癖性を立証し、業に従事する認証を国の機関から取得しなければならない。
 何人も国の機関による認証なしに、直接的・間接的にカジノの運営に関与することはできない。
 国の機関は、当該主体の申請とその明示的な了解に基づき、申請者に係わる犯罪歴、所有銀行勘定や保有資産等の調査に必要な個人情報を関連する省庁、地方公共団体ないしは金融機関等の民間主体に照会することができるとともに、必要な情報を取得し、調 査・審査することができる。
  なお、調査・審査に伴う全ての費用は申請者負担とし、国の機関は払い戻し不要の前金として想定必要費用を当該申請者より徴収できる。
認証の可否は国の機関の専権とし、国の機関はその理由を開示することなく認証を拒否することができる。
  また認証取得者に違法行為や不適切な行動がある場合には、国の機関の判断によりこの認証は一方的に剥奪できる。

(3)施行に使用する器具・機材・機械クシステム等の製造の販売に係わる主体の適格性認証

 カジノ場においてゲームに用いられる器具・機材・機械・システム等を製造・販売する主体は国の機関に申請し、同機関による適格性認証を取得しない限り、施行者ないしは運営受託事業者にかかる器具・機材・機械・システム等を販売することはできない。かつ、その適格性は不断に維持される必要がある。
 なお、適格性認証に伴う調査・審査に関する全ての費用は申請者負担とし、国の機関は払い戻し不要の前金として想定費用を当該申請者より徴収できる。また認証取得者による違法行為や不適切な行動があった場合には、同機関は自らの判断によりこの認証を剥奪できる。

3−5 器具・機材・機械等に係わる不正・偽造を防止するための措置

(1)施行に使用される個別の器具・機材・機械・システム等の形式認証並びに利用のあり方に係わる認証等

 カジノ場においてゲームに使用される個別の器具に機材・機械・システム等は国の機関による個別の形式認証を必要とするとともに、国の機関はその製造・販売・カジノ場における保管や利用のあり方に関し、規則を制定したり、その管理手順を認証の対象とすることができる。
 国の機関が保持する個別の器具・機材の機械・システム等の形式認証に係わる権限は、その能力・資質があると国の機関が判断する第三者民間機関にこれを委ねることができる。
  但し、判断基準の設定や規則等の制定は国の機関の専権とし、委託の対象にはならない。
  カジノ場において許諾を得ていない器具の機材・機械・システム等を利用することはこれを禁止する。

(2)カジノ場で用いられるチップに係わる特別規定

 カジノ場において用いられるチップとは、当該カジノ場においてテーフル・ゲームをする際の賭け事手順を簡素化する目的のために用いられる用具となり、表示された金銭額と同等の交換価値を持ち、当該カジノ場内部においてのみ、常時金銭と交換できる一種の有価証券となる。
 金銭と同等の扱いを受けるため、その偽造等はカジノの安全なる運営に甚大なる影響を及ぼすことより、チップの製造・取り扱い・保管・使用のあり方に関しては、国の機関は個別の規制を制定することができる。

3−6 カジノ場への入場・ゲーム参加不適格者に係わる措置等

(1)カジノ場への入場、ゲームに参加する者に係わる欠格要件

 カジノ施設において、ゲームが提供される区域をカジノ場と定義する。
 これを特定の規制対象となる区域とし、未成年者、学生、暴力団関係者、その他過去にトラブルを起こした虞犯者、賭博依存症患者等による立ち入りを禁止する。
 また、施行者は自らの判断により、任意の主体のカジノ場への立ち入りを拒否することができる。
 欠格要件が適用される主体はゲームに参力『することはできない。またカジノの運営に直接・間接的に関与する個人、規制や監視に係わる個人もゲームに参加することはできない。

(2)カジノ場への入場者に対する本人確認要請

 施行者は顧客の欠格要件を確認するために、任意の顧客に対し本人確認のための証拠書類の提出を求めることができる。
 顧客がその提示を拒否した場合には、施行者はカジノ場への顧客の入場を拒否することができる。

(3)施行者による顧客排除

  施行者は公序良俗を乱しうると合理的に判断される顧客や泥酔者のカジノ場への入場を拒否したり、その理由を開示すること無しに、自らの判断により任意の顧客のカジノ場への立ち入り・入場を拒否することができる。
 また、顧客が規則などに違反した場合、ゲームの進行を混乱させる行為をした場合、ないしはカジノ場内の秩序を乱しうる行為をした場合、あるいはかかる行為が生じうると合理的に判断される場合には、これら顧客を排除することができる。

3−7 カジノ場内外における秩序の維持、犯罪を抑止する為の警備・監視に係わる措置等

(1)カジノ場内、近隣施設等における禁止行為

 カジノ場内、ないしは近隣特定地区等において、秩序を乱す行為や公序良俗に反する行為はこれを禁止する。
 またカジノ場内ないしは近隣特定地区等において、銀行やクレジットカード会社等のATM施設を設置することは禁止する。
 同様にカジノ場内ないしは近隣特定地区において、カジノで遊興する目的の為に金銭を貸し付けることは原則これを禁止する。
  但し、運営受託事業者のリスクにおいて、予め登録した海外重要顧客・高額取引顧客に対し、預託勘定を設定したり、顧客サービスの一環として与信(クレジット)を付与することはこれを例外的に許諾する。
  顧客によるかかる債務は法律上強制執行可能な対象とする。

(2)警備・監視に係わる基本的事項

 カジノ場内外における警備、監視、秩序・安全保持は施行者・運営受託事業者がその一義的な責任を有し、警備や監視に必要となる体制や機材等を具備する義務を負う。
 カジノ場内における全てのゲームの進行は可動式ビデオカメラにより、その全てが別途設けられる監視室より常時監視されるものとし、かつ全てのゲームの進行に係わる(デジタルないしはアナログ方式による)映像記録をとり、一定期間これを保持しなければならない。
 国の機関は随時この映像記録にアクセスでき、犯罪や違法行為等がありたる場合には、これを押収し、証拠とすることができる。
 なお、警備・監視の為に用いられる施設、機材・システムはIT技術を駆使した世界最新のものを利用すべきとし、その採用には国の機関の認可を必要とする。
 また、内部的な警備体制のあり方、警備・監視手順、犯罪や不正防止並びに犯罪行為や不正行為が露見した場合の手順などは全て国の機関の認証・認可の対象とする。

(3)電子式機械ゲームに係わるオンライン監視システムの設置義務

 施行者は、スロット・マシーン、ビデオ・マシーンなどの電子式機械ゲームに関しては、現金ではなく電子式支払いスリップによる払い戻しを原則とし、機械全数を管理するシステムを設置する義務を負う。
 また全てのログをモニターし、全体をオンラインで監視できる端末機を国の機関に無償にて提供・設置し、その利用を可能にするものとする。

(4)国の機関による監査・監視・検査

 国の機関は、必要な場合にはカジノ場内部に常駐できるものとし、カジノ場内外のあらゆる施設に立ち入りが許可され、運営・監視システムのアクセス・検索・閲覧、全運営・経営関連資料・財務会計資料へのアクセス・閲覧、定期・不定期業務検査の実施などの包括的監視権限を行使することができる。
 またゲームの行為及び運営に関するカジノ場内部における不正・不法行為に際しては、必要に応じ、使用する機材・器具・機械・システムの部分的使用禁止命令を発出し、かつ機材・器具・機械、ゲーム記録、映像記録等を押収することができる。  カジノ場内における秩序の維持は基本的には施行者の義務となるが、秩序維持の為に必要と判断される場合には、国の機関は秩序維持命令を発出し、カジノ場内における一部のゲームに係わる行為を暫時的に禁止することができる。
 なお、当該国の機関に付与される権限は行政調査権であり、この機能は特別司法警察職員に該当するわけではない。
 またカジノの施行者は、国の機関の為に必要な事務所をカジノ場内に自らの費用分担に基づき無償提供するものとし、同事務所からカジノ場のビデオ監視システムへの任意アクセスを可能とする端末機や、警備・監視に係わる責任者との円滑な連携・協力を可能とする端末機を設置する義務を負う。
 カジノ運営受託事業者と顧客との間で、係争事由が生じた場合には、必要に応じ、国の機関は第三者として、映像監視記録を根拠に意見を述べることがある。

(5)カジノ場の警備に係わる都道府県警察との協力関係

 カジノ場内の秩序の維持は、基本的にカジノの施行者の責任とするが、必要に応じ、都道府県警察の協力を求めることができるものとする。
 この場合、施行者・運営受託事業者の負担において、カジノ場内に警察官詰所を設ける等の措置を講じるものとする。

(6)マネーロンダリング規制への準拠

 FATF(マネーロンダリングに関するファイナンシヤル・タスクフオース)の勧告により、カジノの施行や実質的な運営を担う主体も「指定非金融業者」として、マネ一ロンダリング規制のための義務(本人確認及び記録の保管、疑わしい取引の届け出等)を負う。
 これについては、現在、政府でマネーロンダリング対策に関する横断的な新法を準備中であり、カジノが制度化された段階で、この新法の適用を受けることになる。

3−8 社会的危害を縮小化する為の施策等

(1)顧客に対する情報開示の徹底と過度の賭博行為がもたらす危険性の告示義務

  施行者は、カジノ場内において、ゲームのルール、顧客にとっての確率的期待値が顧客にとり明示的に理解できる情報開示をするとともに、過度の賭博行為に伴う危険性に関する注意喚起や情報開示、依存症患者特定化や対処の為の従業員教育などを徹底することが義務づけられる。

(2)社会的セフティー・ネットの構築と必要な財源措置

  施行者は、カジノ施設が設置される当該地域において、賭博依存症患者が生まれうることを前提に、施設地域単位にてカウンセリングや治療等の体制を具備することを検討するとともに、本人や家族の申し立てに基づくカジノ施設からの依存症患者自己排除プログラムの実施やカジノ場におけるカウンセリングの実施等必要なセフテイー・ネットを考慮する義務を負う。
 施行者はその為の適切な財源として、例えば施行収益金の一部や、参加者からの入場料の一部を当てることを条例で定めることもできる。

(3)地域環境対策の自主的推進

 施行者はカジノ施設への組織犯罪の介入防止、地域における風俗環境の悪化防止・地域社会における依存症対策等について施行者に勧告・助言する地域環境管理委員会を設置するものとし、地域環境対策を自主的に推進する。
 当該委員会は、警察、教育、保健衛生、金融等の当局及び有識者で構成するものとする。

(4)対内的広告の抑制

 カジノ施設が国民による過度の射幸心を煽ることを抑止することが当面の間は適切とも判断され、国内におけるカジノ施設の過度の広告や積極的プロモーションには一定の規制を設ける。

(5)高額取引顧客に対する個別のプロモーションの許諾

 国内外の高額取引顧客などに限り、個別のプロモーションをすること〔ジャンケット〕は例外的に認めることとするが、かかるプロモーションを担う主体の適格性認証や、許諾の内容、認可条件等の詳細は国の機関がこれを別途定める。

(6)カジノの安全かつ健全な施行に深刻な影響をもたらしうる事象への対応措置

 カジノはその施行が安全かつ健全になされてこそ、地域社会への貢献や公益の増進に資することができ、政策目的を達成することができる。
 このため、安全かつ健全な施行を妨げる事象が生じた場合(例えば顕著な違法行為、関係者の努力にも拘わらず、秩序保持ができない場合、運営受託事業者による受託契約上の債務不履行事由、運営受託事業者の破綻・倒産・解散事由等)には、国の機関が受託契約に関与し、暫時的な施行停止を命令したり、修復ないしは運営受託事業者代替措置などの対応がメカニズムとして機能する様に予め関係当事者が規律を定めておくことを基本とする。

 

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