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◆『河川レビュー』河川新風土記 「らしさ」は残っているか 平成19年4月10日
 
 新公論社発行の雑誌、季刊『河川レビュー』の特集・河川新風土記の6回目が掲載されました。

 第6回でとりあげるのは、九州。テーマは、「らしさ」は残っているか。
 九州で活動する地域づくりのリーダーたちを紹介しつつ、川の「らしさ」や、日本の「らしさ」を醸し出す土壌となる地域のあり方について考えます。

季刊『河川レビュー』については

〒150-0021 東京都渋谷区恵比寿西1-2-1-707
 TEL 03-3461-3102 FAX 03-3461-6095
 新公論社  まで お問い合わせください。
    http://www5.ocn.ne.jp/~k-review/

「らしさ」は残っているか

 「らしさ」というものは大事である。「らしさ」は「柄(がら)」とか「風(ふう)」或いは「振り(ぶり)」でもある。それらしく生きていれば、その人のお人柄というものができていく。最近は、お家柄というのは流行らなくなっているが、土地柄とかおクニ柄というものは今も健在である。九州人らしさというのはどういうものか? いろんな見方があろうが、私は、九州の人というのは大変「地元志向」が強いのではないかと思っている。「地元志向」というものはどこにでもあるが、東京がいちばん希薄で九州がいちばん強いのではないか。私の知る限り、村田幸博さんや今泉重敏さんは全国的に見てもまれな地域づくりのリーダーで、できれば全国的に活躍して欲しいと思っているのだが、人から頼まれたときは別として、自ら全国に打って出るということはない。しかし、彼らの活動は全国でいちばんパワフルである。すばらしいのだ。惜しい。まことに惜しい限りである。

 村田さんは、昨年、全国水環境交流会の全国大会を引き受けられて大成功に導かれたが、日頃の活動はおおむね熊本が中心で、九州の外に出ることはない。熊本南部地区市民の会を皮切りに「熊本の水を良くするボランティア協議会」など数々の地域活動をやってこられたが、なかでも「緑川の清流を取り戻す流域連絡会」ではその事務局長として大活躍をされた。「緑川の日」を定めて今まで延べ13万人を動員して、緑川の清掃活動をやってこられた。現在は、地元・川尻を中心にして、子供達に「伝統漁法の達人づくり」など子どもの自然教育に力を入れておられる。

 今泉さんも福岡を中心に大活躍をしておられるが、これも村田さんと同様で、自ら全国に打って出るということはない。今泉さんは「まちづくり研究所」を平成5年につくられ、「まちづくり」に関するまことにユニークな取り組みをしてこられている。また、九州における「まちづくり」の“のぼせもん”というネットワークの代表世話人で、国や自治体の役人とのパイプも太く、「まちづくり」や「川づくり」のボランティア団体等、約1万人の幅広い人的ネットワークを持っている。最近私が注目している彼の活動として、「町まるごと学校化構想」というのがある。これは、小学校単位でそういうまちづくり協議会をつくって、子どもと一緒になって元気な「まち」を作っていこうとするものである。

 子どもに焦点を当てた「まちづくり」というものは、今後まことに大事な地域活動になっていくのではないかと思われる。今、教育基本法の改正が話題になっているが、法律を改正したからといって子どもがよくなるというのではない。大野重男さんは、学校教育に限界を感じておられ、「ハーモニーセンター」という子どもに焦点を当てた乗馬倶楽部をやっておられるわけだ。NPOに限らないが、やっぱり地域の人が、社会の中で子どもに焦点を当てて地域活動をやっていくということが今後極めて重要な課題になっていくと思う。「地域力」だ。全国各地でその萌芽がでてきている、大野重男さんの「ハーモニーセンター」は別として、もっとも先をいっているのが村田さんと今泉さんんの取り組みだ。子どもを川に連れて行って、できるだけ本物に近い自然を体験させる、そういう体験学習が子どもの情操教育にきわめて有効である。学校でとても教わらないものを自然の中で身につけさせる。それに人生をかける地域の「のぼせもん」がいる。すばらしいことではないか。それぞれの地域の小学校を単位で川に子どもを巻き込んだ動き、そういう心のふれあいが必要になってきている。やはり、これからは、大人のほうが地域ぐるみで子どもを意識しないといけないのではないか。

 その地域にふさわしい川というものは、その地域の風土にふさわしい川のことである。風土というものはその地域の人びとの「歴史と伝統・文化」が染み込んだものであり、川の「らしさ」とは、その地域の人びとの生活振りが染み込んだものである。だから、川の「らしさ」というものは地域の人びとが参画しないとできてこない。否、参画というよりも地域の人が主体でないといけないのだ。

 これからの日本、それぞれの地域が「地域力」というものをつけていかないと、特に、過疎地域等は崩壊していかざるを得ない。そうなれば日本の「らしさ」というもの自体が崩壊せざるを得ない。今いちばん大事なことは、それぞれの地域が「地域力」をつけることである。この市場原理が渦巻く中にあっては、贈与経済の部分を増やしていかないとそれぞれの「経済力」がダメになるし、地域産業の後継者は育たない。地域は後継者を育てながら、地域の文化というものを守っていかなければならない。否、「文化観光」に力を入れて地域に金を落としてもらわなければならない。地域のビジター産業を育てなければならないということである。過疎地域にすばらしい自然があるからというだけでは、地域経済が活性化するほど人が来る訳ではない。外国人にも大勢来てもらわねばならないのだから、よほどの工夫が必要だ。

 私が「劇場国家にっぽん」を提唱しているのは、地域を劇場になぞらえ、地域の人びとが主役となってお祭りなど地域の生活をイキイキと生きている、そんなイメージからである。「劇場国家にっぽん」はお祭りを重視している。今、耕作放棄地の樹林帯や花畑への転換、豊かな自然環境の保全、回復のためのビオトープ・ネットワーク等の整備、都市住民に農作業の場を提供する市民農園の活用、さらに農作業を通じてレクレーションや体験学習を行う施設整備と支援システムの充実が求められている。グリーン・ツーリズム運動や美しい村づくり運動は、今後きっと急速な高まりを見せてくるに違いない。しかし、私は、究極の「文化観光」は「ジオパーク」だと考えており、九州の川のどこかでそのモデル的な取り組みを始めたいと考えている。筑後川、緑川、大野川、五ヶ瀬川など九州の川は、それぞれ「歴史と伝統・文化」に裏打ちされたすばらしい川である。1000年、2000年というものでなく、3万年前或いは2万年前から連綿と続く川の歴史、流域の歴史を紐解いてみたいものだ。今年は、宮崎県五ヶ瀬町で「水源地域サミット」が開催される。そのときは「ジオパーク」の話をして、「ジオパーク」に対する九州の人たちの関心を是非得たいものである。

これまでの[折々のことば]
平成19年 4月10日
『河川レビュー』河川新風土記 「らしさ」は残っているか>>


平成19年 2月 9日
第3回 GUPI ジオ・フォーラム ―地域観光資源とビジター産業―>>


平成19年 1月 1日
新年のご挨拶>>


平成18年12月 5日
『河川レビュー』河川新風土記「水源地域の活性化とジオパーク」>>


平成18年10月 3日
『河川レビュー』河川新風土記「ふるさと創成・・・新たな挑戦」>>


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