「平和の論理」をどう語るか


 

 早いもので、平成の御代(みよ)になってはや20年近くが過ぎようとしている。新年号が公布されたのは1989年1月7日であったから、正確には、今年 は19年目を迎える。当時の小渕官房長官がテレビで「内平かに外成る」「地平かに天成る」と「平成」の意味を説明しておられたのを鮮明に覚えている。しか し、今は、まことに内憂外患、とても内平かに外成っていると言い難いし、地平かに天成っているとは言い難い。私は、この21世紀、そう簡単に世界平和が やってくるとは思わないが、少なくとも日本は、国是として世界平和の努力をつづけなければならない。

 私は、日本こそ世界平和を実現する力を持っているのだと考えている。世界のアメリカ化はしばらく続くであろうが、アメリカは日本の助けを借りないと真に 世界から尊敬される理想の国にはならない。そもそもアメリカは、イロコイ族から手を引かれるようにして、自由と民主の理想に燃え、そして世界で始めての建 国憲法をつくった。今度は日本だ、否、イロコイ族も含めて、私たちモンゴロイドがアメリカと手をたずさえて世界平和の実現に骨を折っていかなければならな い。これからのアメリカは、「ソフトパワー」を発揮していかなければならないのであって、ふたたびイロコイ族と手をたずさえて建国憲法をつくった・・あの 原点に帰らなければならない。今アメリカに必要なのはイロコイ族の感性であって、そのイロコイ族と私たちモンゴロイドが連携していくのだ。それが、中沢新 一のいう・・「環太平洋の環」構想である。

 日本の「歴史と伝統・文化」の心髄が「違いを認める文化」にあり、そういう意味では、日本では歴史的に見て「平和の原理」が働いてきたといえる。それを 「平和の論理」として世界の人びとに語って行かなければならない。私が「劇場国家にっぽん」と言ったり「文化観光」の重要性を訴えているひとつの理由はそ のためだ。そして、私が、わが国の「ジオパーク」を推進しようとしているのは、その演劇性にあり、万年前からの「歴史と伝統・文化」をビジュアルに見せる ためである。私が「劇場国家にっぽん」と言っている所以である。私が「劇場国家にっぽん」と言ったり「文化観光」の重要性を訴えているもうひとつの理由 は、地域の活性化のためできるだけ多くの外国人観光客に来てもらうためである。できるだけ多くの外国人観光客に来てもらうためには、観光資源として、これ からの新しい文明を創造するために役立つというか、これからの生き方に重大な示唆を与えうる・・・文化的価値の高いものが必要である。しかもそれが唯一日 本にしかないとなれば、外国人向けの観光資源としては最高のものとなる。それが私の考える「ジオパーク」だが、そこには世界的な説明がビジュアルになされ ていなければならない。外国人にも判り易くなければならないし、若い人にも判り易くなければならない。つまり、「演劇性」がもっとも大事な点だ。 

 「ジオパーク」については、地質学、地理学の知見を駆使しながら、そしてまた「芸術人類学」の助けを借りながら、風土哲学と土木技術の融合が図られなけ ればならないと・・・私は考えている。そうでないと、真に有意義で、かつ、ドラマチックな「演劇性」というものを生み出すことは不可能であろう。


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