シャングリラ


2016年7月10日

国土政策研究会

会長 岩井國臣


私は、ひょんなことから中国の雲南省にシャングリラという都市があることを知った。シャングリラは、ヒルトンの 小説「失われた地平線」2011年9月、河出書房)に出てくる理想郷を意味する地域の名前であるが、もちろんその地域は実際に存在する地名ではなく、ヒルトンの想像の地域である。しかし、雲南省には実際の都市・シャングリラがある。後年、ヒルトンの 小説「失われた地平線」が映画化されて、シャングリラという言葉が有名になったために、それにあやかって中国政府が命名した都市である。すなわち、シャングリラは、もともと中甸県(ちゅうでんけん)と呼ばれていたが、ヒルトンの小説「失われた地平線」の中で描かれているユートピア(理想郷)シャングリラ を採用し、2014年、中国政府によってシャングリラ県に改名されたのである。


このことを知り、面白いと思った。そこで、私は、 ヒルトンの小説「失われた地平線」を読むと同時に、雲南省の都市・シャングリラを調べることにした。小説「失われた地平線」の中で描かれているユートピア(理想郷)シャングリラ と雲南省にある実際の都市・シャングリラとは、どこが違っていてどこが共通しているのか? 共通点については、私の解釈によるのだが、どうもチベット仏教の寺院があり、人々は信仰に生き、幸せな生活をしている。


チベット仏教といえば、本家本元はチベット自治区である。チベット自治区の中心都市は、ラサ市である。ラサ市は第二のシャングリラにならないだろうか? そんなことを考えて、書き上げたのがこの「シャングリラ」という論考である。


中国中央政府とチベット自治区の間には、いわゆる「チベット問題」が横たわっており、今なお解決していない。中国中央政府がラサ市に第二のシャングリラを作るとしたら、まず「チベット問題」を解決しなければならない。その可能性はあるのか? また、それを解決するということは、世界的に見てどのような意味があるのか? 論考を進めていくうちに次々と考えねばならない問題が出てきて、結構苦労したが、そのお陰で中国が抱える当面の政治課題も見えてきた。中国について、私は、今まで色々と書いてきているが、今回のこの論考は私の新たな中国論になっている。


民族にはそれぞれ特有の宗教がある。


中国の中央政府は、現在、無神論の立場をとって、けっこう厳しいコントロールを行っている。それはそれで良いとして、今後は、民族宗教の保護育成を積極的に行うことが望ましい。特に、漢民族の道教とチベット民族のチベット仏教は、中国の発展のみならず世界平和に大きく貢献することができると考えるからだ。


中国中央政府の支援のもと、道教とチベット仏教がより盛んになれば、道教寺院やチベット仏教寺院を中心として、第二第三のシャングリラができるであろう。


シャングリラは、世界における国土づくりの理想となる。それを中国が示すのだ。世界のどの国もこういうことはなしえない。



中国は、その歴史と伝統にしたがって現在「天命政治」を行っている。その天命政治で必要なことは、そろそろ習近平は毛沢東を超えて宗教政策を改革しなければならない。民族宗教の保護育成に当たることである。これは中国が発展するための絶対条件の一つかと思われる。


以上のことを書いたのが次の論考である。


http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/syangurira.pdf






前回までの目次

http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/index00.html



なお、一連の電子書籍を出版した2012年以前のWhat’sNewは、

http://www.kuniomi.gr.jp/geki/iwai/huruiWN.html