サケ漁と住まい
 
 
 私は先に,荒屋遺跡というページでは、 その部分がきわめて大事な部分であるとの観点から,荒屋遺跡第2・3次発掘調査報告書(芹沢長介)」に書かれている最終的な総括をそのまま転記した。その要点は, (1)竪穴住居状遺構は長期間利用された遺構群と考えられるということ、 (2)出土遺物は、包含層、遺構から出土した細石刃5,590点、彫刻刀626点、彫刻刀スポール8,365点、細石刃核11点、剥片・チップ77,362点など、総数92,451点にのぼるということ、 (3)この遺跡における細石刃製作工程を詳細に検討でき、湧別技法とホロカ技法が確認されたということ、(4) 遺構から出土した樹種には、カラマツやハンノキなどが含まれ、現在の中部地方高山地帯にみられるような冷涼な環境にあったと推定されているということ、(5) 本遺跡の遺構、遺物の絶対年代は、約14,000年前に属すると推定されるということなどである。
 そして,私の意見として,次のように述べた。すなわち、『 げに荒屋遺跡は大事な遺跡である。荒屋遺跡を語らずして、日本の石器時代を語ることはできない。では、いよいよ荒屋遺跡について勉強することにしよう。
 まず最初に言っておきたいのは、旧石器時代、日本列島の中心は、八ヶ岳から武蔵野台地や相模野台地にかけてのいわゆる富士眉月弧(ふじびげつこ)文化圏 であったのではないかということである。したがって、北海道から湧別技法集団等が日本列島を遊動していく場合、地理的条件から、会津から越に抜けるルートが中心になったのではないかと思われる。大河川は徒渉で渡ることは困難であったからである。魚野川をその上流部で渡って、千曲川の合流点・荒屋に行く。荒屋からは、千曲川沿いに容易に信濃に行くことができるが、上越国境の山を越えることもできる。荒屋はまさに交通の要衝である。またサケなどの水産資源を採取できる格好の場所であったとも言われている。』・・・・と。
 
 
 
 「縄文のこころとかたち」(小林達雄、1989年7月、毎日新聞社)というすばらしい本があって,その本の始めに下のようなイラストが載っている。山本耀也のすばらしいイラストである。ここに掲載させてもらったのは白黒のコピーだが,本物は実に見事なので,是非,上記の本を購入していただいて本物を見て欲しい。
 ご承知のように,サケは,秋,産卵のために川をさかのぼってくる。場所によっては,サケの大群によって川が埋め尽くされるような状態になる。秋川や平井川の多摩川合流点付近は,そういう状態であったかもしれない。
 前田耕地遺跡からシロザケ骨が大量に発見された。縄文人とサケとの密接な関係の原点である。秋の川を遡る(さかのぼる)サケを捕獲して,新鮮な味を楽しんだだけでなく,むしろ乾燥や燻製その他の保存加工によって,不足しがちの冬の食生活を安定させたのである。
 
 
 
 
 荒屋遺跡から少し新しい遺跡として多摩川の前田耕地遺跡がある。前田耕地遺跡からの出土品は,その多くが,小瀬が沢遺跡や荒屋遺跡の場合と同様,国の重要文化財になっている。前田耕地遺跡は,縄文時代の草創期を語る場合,欠かすことのできない極めて重要な遺跡なのである。早速、赴くこととしよう!
 
 前田耕地遺跡は,多摩川本川の近く,平井川と秋川に挟まれた段丘上に位置し,昭和51年から59年まで発掘調査が行われた。そして,その調査で,縄文時代草創期は約1万3000年前を中心とした縄文集落が確認されたのである。とりわけ,草創期の2軒の住居跡は,わが国での最初の発見例としておおいに注目される。その1軒からは,クマなどの動物の骨とともに、サケ科の顎歯(がくし)約8000点が出土し,河川における漁労活動を示す最古の資料となっている。前田耕地遺跡の発掘で,わが国の縄文文化の初期から,漁労活動が行われていたことが判明したのである。
 
 
 
 
 
 前田耕地遺跡の企画展が平成15年に東京都埋蔵文化財センターで開かれ、貴重な資料を見ることができたが,残念ながら,現在では,サケ科の顎歯(がくし)約8000点のうちその一部を見ることができるのみである。現地には見るべきものは何もない。しかし,近辺の環境を知る上でともかく現地に赴くことにした。
 
では出かけるとするか。
とりあえずは前田耕地の現場へ!
現場はあきる野市の東部図書館(エル)の隣の公園である。
ほとんど見るべきものはない。
もう少し何とかならないものかと思うが・・・・・。残念!
でも近くに少しだけ湧水が湧いているらしく,小さな水路が整備されている。
水辺のポケットパークもある。
それを見て,図書館の前の道を北に向かう。
踏み切りおっ渡って少し行くと、
二宮神社の遊水池から流れてくる水路がある。
二宮神社の湧水池はすぐそこだ。
なかなかの湧水池だ。
なるほど,古代人がここに住まいを定めた理由が判った。
 
 
 
 
次は,平井川だ!
 
前田耕地の北側・二宮神社付近を平井川は流れ,
そう遠くないところで多摩川に合流している。
前田耕地の南には秋川が流れている。
前田耕地とは少し距離がある。歩いて20ないし30分ぐらいのところか。
多摩川と秋川の合流点はさらに遠いが,それでも1時間はかからないのではないか。
 
私の勝手な想像だが,
サケ漁は母なる川・多摩川で行なわれた。
 
秋川や平井川でも行なわれたかもしれないが,
せいぜい合流点付近だと思う。
秋川も平井川も急流河川だからだ。
 
そんな勝手な想像をしながら、今回は,
二宮神社の池を出発し,
武蔵野の路を通って多摩川に出ることとした。
 
多摩川と平井川の合流点付近に出る筈だ。
 
 
 
 
 
 
 
さて、問題は,阿賀野川のサケ漁だが・・・
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