「和 のスピリット」
 


  これからの国土づくりや地域づくりや町づくりにおいては、「風土」ということが強く意識されなければならない。哲学としてはプラトンの「コーラ」であり、 宗教としては「空(くう)」であり、民間信仰としては「スピリット」というか「石神信仰」である。
  「地域づくり」は「人づくり」であり「場所づくり」である。私が「劇場国家にっぽん」を提唱する所以の一つは、「場所づくり」において演出というものが不 可欠だからである。私は、ビジター産業を日本のリーディング産業にしたいと考えており、そういう立場からすると、「地域づくり」には「演劇性」が必要であ り、どうしても演出家の助けが必要だ。場所の演出にあたっては、その歴史的背景や伝統や文化が密かに感じられることが肝要だ。
 
  「縄文との響き合い」とか「宇宙との響き合い」というものも「劇的空間」としては極めて大事である。きっと、そのような「地域づくり」は地域の人びとの流 動的知性を養うに違いない。そして、そのことはまた、日本人の流動的知性を養うよすがとなろう。
 
  「和のスピリット」の出現する聖なる空間というものは、「宇宙との響き合い」のできる貴重な空間である。
 
注: 「和のスピリット」というのは、平和をもたらすスピリットという意味で私が好んで使っている言葉であり、次に示す一連のページを是非ご覧ください。
ス ピリットというのは、日本語では精霊と言って良いかと思うが、山の神、田の神、水の神、道祖神、狐の神、蛇の神、座敷わらしなど、中沢新一の言うところの 「タマ」がいろいろなすがたかたちとなって現われる神のような存在である。次に示すページを是非読んでください。
 
  そこで大事な要素となるものがいくつかあると思うが、何より心惹かれるのは、空(そら)であり、星である。夜空いっぱいに満点の星が光またたく。こんな神 秘なことはなかろう。私は、若いときから登山をやっていて、幾度となく星空を眺め、目と身体でしっかりと覚えている。
  空(そら)のほかに大事な要素となるのは、地質だ。空(そら)や星も重要だが、大地との響き合いも重要である。温泉が吹き出ているとか、大きな岩が露出し ているとか、何か地質学的な特徴があれば、それを手引きに大地との響き合いができる。
  次に大事なのは川だ。川は千差万別。いろいろな表情を四季折々に見せてくれる。とくに洪水のときは自然の猛威を見せつける。自然の恵みと自然の恐ろしさを 実感させてくれるのは川である。
 
  こういった自然の・・・聖なる地のひとつに、縄文の遺跡があるのではなかろうか。「縄文との響き合い」・・・、これは、世界の人びとに是非とも体験しても らいたいと思う。きっと、ビジター産業のキャッチフレーズになるにちがいない。
  しかし、私は、そういう聖なる地に生息する「和のスピリット」の力によって、ここがいちばん大事なところだが、人びとは、流動的知性というものを身につけ ることができるのではないかと考えている。
注: 流動的知性というのは、中沢新一が好んで使っている言葉だが、私はそれを勉強しながら・・・次のような一連のページを書いているので、是非、それを読んで 欲しい。
 
 
 
  わが国は多神教の国である。神社や寺院のほかに、キリスト教会なども結構数多く見受けられる。今後、わが国には、いろんな異境の神が入ってくるであろう。 すでにイスラム教徒も少なくないようであるが、そのうちに本格的なモスリムも珍しくなくなっていくであろう。キリスト教のほか、イスラム教も結構わが国に 馴染んでくることだろう。しかし、キリスト教やイスラム教という一神教も、原理主義的なものは日本では育たないように思える。
  わが国は、徳一と最澄の宗教論争のほか、明恵と法然の宗教論争というものすごい論争があって、結局は、現在のように、いろんな宗教ないし宗派がこの狭い国 土に共存するようになっている。わが国は「和の国」である。わが国は、多分、風土に起因する・・・「違いを認める文化」というものを持っているのである。 「和のスプリット」の活躍が旺盛なのである。しかし、みなさん、ここがいちばん大事なところだが、その「和のスプリット」というものは、わが国特有のもの ではなくて、モンゴロイドすなわち「環太平洋の輪」に見られる世界の・・・それも極めて広範囲に、しかも世界一古くから生息する・・・「平和の使者」なの である。
 
  今後、どのような宗教がわが国に入り込もうとも、その「和のスプリット」の働きのお陰で、わが国では、原理主義がはびこることにはならないと思う。異境の 神を恐れてはならない。むしろ、今後、わが国は、積極的な移民政策をとって、異境の神を積極的に受け入れなければならないのである。
 
以 上のような観点から、ジオパークという場 所の演出にあたっては、その歴史的背景や伝統や文化が密かに感じられることが肝要だが、「和のスピリット」というものを強く意識することが望ましい。「和 のスピリット」の出現する聖なる空間というものは「宇宙との響き合い」のできる貴重な空間であるが、星空、地質、水に関わる場所のほか、縄文遺跡は、そう いう貴重な空間になるかもしれない。


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