川のQ&A
 

 

川のQ&A

取材をするうちに、少しずつ見えてきた、あのことこのこと。
印はスタッフが取材で回答を発見・実感した特集ページへのリンクです。)

1.川と水の基礎知識  |  2.川と法律  | 3.雑学


1.川と水の基礎知識

 

 

「川」ってなんですか?

雨などの自然水が陸地のくぼみに集り、重力によって低い方に流れ下る水路と流水を総称して「川」といいます。ふつう地下水の流れを川とはいいませんが、流れの 速いものは地下河川といいます。地球に川ができたのはそこが水の通 り道として適当だったからで、川の水が大地の山や谷を削り、土砂を運び、堆積させて平地をつくったといえます。

大地を削り流れる川のパワー「日光・大谷川を知る/日光砂防」

 

川の水はどこからくるの?

川の水は、主に雨や雪が降って地面にしみこみ流れ込んできたものです。人が利用 した処理水も加わった川の水は、やがて海や湖に入って太陽の熱で温められて蒸発して空にのぼり、それがまた雲になって雨や雪になります。同じ水がぐるぐると地球を循環しているわけです。この水循環は一年間に40回繰り返されているといわれ、およそ9日で一周するぐらいの計算です。

湧き水も温泉も地球の水循環の一部です
「九州・島原半島の水を知る」
熊野川源流「天ノ川」/名水が湧く水の郷」
沖縄本島の川を知る<その2> 

 

森と川と海と関係は?

食物連鎖のいちばん底辺となる植物プランクトンの栄養源は森の土の中で分解され、育まれ、川によって山から海に運ばれていきます。各地の海や汽水域の漁業者が森で植樹する運動は「木を植えて森をつくって、川からきれいで栄養のある水を海に流せば、資源を守ることができる」という考えからです。

森と川と海の関係を海部川で実感「海部川を知る」
浜の母ちゃんが植林活動「西別 川を知る/西別川の水」
川を守ることは海を守ること「奥津軽を知る/生きる」

 

どうして川の水は雨が降ると増えるのかな?

豪雨のときでも実際に観測してみると、都市化してコンクリートでおおわれている流域は別 として、自然地盤の森林地域は浸透が大きいので、地表を伝って水が直接川に流れ込むことはありません。アイソトープを使った水循環の研究の結果 では、洪水のピーク時ですら水の大部分は地下水からの水で、地表から流れ込む水は1割から3割に過ぎません。大雨で川が増水するのは、地盤にすでに含まれていた地下水が、降水で新たに加わった浸透水によって押し出されてくるからだといえます。

 

日本にはいくつくらい川があるの?

河川法で指定された一級河川、二級河川、準用河川を合計すると35161河川、これに加え指定されていない普通 河川があるので、これ以上なのは確かです。(平成12年現在)

 

日本の長い川、流域面積の大きい川、一番短い川は?

川の長さの順位は、1.信濃川(367km)2.利根川(322km)3.石狩川(268km)。流域面 積が大きいのは1.利根川(16,840km2)2.石狩川(14,330km2)3.信濃川(11,900km2)の順です。日本一短い川は、水源から海までわずか約300m、沖縄の塩川というのが定説です。

日本一短い川はここにありました「沖縄本島の川を知る/個性派の川」

 

日本の変わった川を教えてください。

水が土壌の質のせいで地下にしみこみ伏流水になって流れるため、川の一部が途切れている川や、地面 の傾斜と反対方向に流れている川。水が酸性を持つ川で酸川・渋川ともいわれる「酸性河川」。海の水が流れ込んでいるわけでもないのに塩味がする不思議な川が沖縄にあります。

世界にたった二つだけ。塩味の川発見「沖縄本島の川を知る/個性派の川」

 

日本の川や湖沼の水質汚染の主な原因ってなんですか?

汚染源の60〜70%が生活廃水(トイレの排水・台所、風呂、洗濯などによる雑排水)で、人が流す汚れをBODに換算すると、台所から流された味噌汁一杯さえ、魚が住める状態まで希釈するには風呂桶4・7杯分もの水が必要です。 又、人がつくり出した化学物質は分解されにくく、地面にしみこんで川や湖沼に流れ込みます。家庭から流れ出す多量 の合成洗剤も化学物質です。工業廃水のたれ流しによる汚染は規制で減少したものの、地面 に残留した物質や産業廃棄物の処理方法など問題は山積。加えて、世界の3.5%に過ぎない耕地面 積から収穫を増加するため、日本で使われている農薬の量は世界の12%。使用している化学肥料の量 はアメリカの3倍から8倍だともいわれ、こうした農業事情も、地球に大きな負荷を与えています。

故郷の水質保全に取り組む人たち「汽水域・涸沼を知る」

 

川の下流・中流・上流。どうやって決めるの?

ひとつの川を厳密に上・中・下流域で分ける定義はありません。小学校などで「石がとがっているところが上流、丸くなっているのが中流、砂や泥になっているところが下流」と習った覚えはありませんか?全てに当てはまる見分け方ではありませんが、日本の多くの河川で、

『上流』・・・ 流れが速い谷川になっている。瀬と瀞の連続で、段差は小さな滝のよう。角ばった大きな岩が川や川原にごろごろある。

『中流』・・・ 上流と下流に挟まれ、川の勾配がゆるやかになり川幅も広くなる。瀬と瀞が蛇行のごとに出現し白波がたっている。

『下流』・・・ 川幅が広がり流れもゆったり、川の勾配は感じにくい。大きな石が無くなり川底に砂利や砂や泥が堆積している。

といった特徴があげられます。
各学問分野でいえば、河川生態系の研究にともなって引き出された河床形態による上・中・下流域の区分や、河川工学に基づいた「河床勾配が同じで似たような特徴をもつ区間ごとに河道を区分したセグメント区分」による分け方などがあります。その他にも、一つの蛇行区間にある瀬と淵の分布の変化から見分ける方法、川の勾配の変化点や河川管理区間に基づいて区分する場合などがあります。
しかし、川といっても千差万別。中には上流部分がすぐさま海に切れ落ち、普通 は上流部から中流部への移行地点にできる扇状地が海へと突き出ている川もあるのです。
現在では、それぞれの河川の流域スケールや、環境に合わせて上・中・下流域を分けるという考え方のもと、市民・学識者・河川管理者が区分の基準を共有した上で、流域活動に取り組む例も増えています。

上・中・下流の概念が当てはまらない「黒部川/峡谷と扇状地」

 

地下水のことを教えてください。

地下の地層の隙間や亀裂などにある水を地下水といい、年間で数メートルから数百メートルのスピードでゆっくりと流れています。大きく二種類に分けられ、ひとつは地表からしみこんだ雨水や河川等からの浸水が、比較的浅い部分にある浸透しにくい粘土層等でとどまったものです。「不圧地下水」とか「自由地下水」と呼ばれています。もうひとつが不圧地下水より深い部分にある「被圧地下水」で、地層の関係などから水を通 しにくい層の下にまで達した地下水です。この水は標高の高い地域の降水や上下の粘土層から絞り出される水、不圧地下水からの漏水などからなっています。

 

ひとりでに地面にわいてきた地下水は、どれも「湧水」ですか?

地表に自然に湧き出ている地下水を「湧水」といいますが、これは「不圧地下水」といっていいでしょう。「被圧地下水」の場合は、幾層にも重なった土砂や岩石の圧力がかかっているので、その層まで穴を掘ると地中の圧力と水圧で自噴したり、地表面 近くまで上ってきます。これは「自噴井」といいます。

湧水を求めて
「黒部川・峡谷と扇状地/扇状地の豊かな水」
「九州・島原半島の水を知る/湧き水」

 

「おいしい」と感じる水の条件を教えてください。 NEW!

「おいしい水」という言葉が定着したのは、水道水質基準の検討で厚生省が「おいしい水研究会」を発足し た昭和50年代以降のこと。おいしい水に欠かせない要素は、「ミネラル・硬度・炭酸ガス・酸素が適度に含まれていることと、低めの水温」といわれ、不純物をまったく含まない水というのは、飲んでもおいしくないのだそうです。川を取材する中で、スタッフは川の勾配差・地質や源流部の状態・流域の自然度や雨量 などが、その地域の水の味に大きく関わっていることを知りました。

おいしい水との出会いめじろ押し
熊野川源流天ノ川「名水が湧く水の郷」
島原半島の「湧水」

宮川河口域「川・町・人」 中森さんの宮川ばなし
黒部川峡谷と扇状地「豊かな水」

 

 


2.川と法律

 

 

川にも法律があるの?

日本には「河川法」という河川を管理する法律があります。洪水を防ぎ、水の利用を調整する他、河川の水質保全や生物の保護、河川敷の利用方法など、総合的な河川行政を定めた法律です。明治29年につくられ、戦後何度も大改正されて、「治水」に「水系一貫管理」「利水」「河川環境の整備と保全」などが加えられて今日のかたちになりました。 この法律によって、河川法の対象となる河川や区域、その管理者、管理費用の分担、河川から生ずる収入、水利の調整やダムに関する規定などが定められ、規制が行なわれています。河川法でいう「河川」は公共で利用する水流や水面 を指すので、一般的に考える川だけでなく、放水路や湖沼、洪水調整池なども河川に含まれます。

 

一級河川と二級河川はどう違うのでしょう?

河川法の管理上、その川に流れ込む雨や雪などを集めている地域全てを「流域・集水区域」と呼び、同じ流域内にある川や関連する湖沼もふくめて「水系」といいます。この水系のうち、国土保全や国民の経済上特に重要な水系が一級水系に定められ、国土交通 省大臣(国)によって直接管理されています。この水系にかかわる河川や湖沼が一級河川です。小さな支流が意外にも一級河川であったりするのはそのためです。二級水系に指定された流域で都道府県知事(地方公共団体)が指定管理する河川が二級河川です。それ以外に水系に関係なく市町村長(地方自治体)が管理する準用河川があり、このいずれにもあてはまらない川を普通 河川といいます。

中禅寺湖は一級河川だった!「日光・大谷川を知る/華厳の滝」
那珂川支流、一級河川の汽水域「汽水域・涸沼を知る」
吉野川支流、エメラルド色の小さな一級河川「熊野川源流「天ノ川」/身体検査」
一級河川が一本もなく、国の指導のもと県や自治体が管理「 沖縄本島の川を知る/序章」

 

 

川には右左があるの?

流れの上流から見て、右が右岸、左が左岸です。

 

ひとつの川でも源流から河口までいろんな名前がついていることがあるのに、地図上では名前がひとつに統一されています。どうしてかな?

河川法で、川の「名前」は支川が合流したその川の下流部(河口)の名前を使うことになっているからです。たとえば長野を流れる千曲川は下流域の新潟で信濃川と呼ばれますが、「日本一長い信濃川」は両方の距離をトータルたものです。

 

川はだれのもの?

河川法の中に、「河川は公共に利用されるものであって・・」という一文があります。河川は公共物ですから、川を所有するのは国民です。国民に任されて河川を管理しているのが河川管理者です。

 

川はどこでも、好きなときに泳いだり、舟を漕いだりしていいのでしょうか?

特に法律の規制はありません。河川は公共物ですから河川の機能を低下させたりしない限り、公園などと同様、誰でも利用する権利がありますし、河川を船が通 行するのも自由な行為とされています。しかし、権利に伴う責任も当然市民にあるわけで、自己責任による良識ある範囲でということになります。ダムや水門、堰など河川管理施設周辺では、運営管理上支障があるような行為を管理者が禁止することはできます。

ペーパーウェイトをつくろうと、川の石を持って帰ろうとしたら友達に「公共物だからダメ」と言われてし まいました。本当にいけませんか? NEW!

河川生産物である河川の砂利やアシなどは、川を構成する重要な要素として河川法に基づき管理され、原則とし て河川の石を無許可で採取することは禁止されています。しかし散歩や水遊びなど、他の人の使用を妨げない範囲での河川の利用は「自由使用」とされていることから、その良識の範ちゅうで石を持ち帰るのであれば可能な場合もあります。ただ、河川法のもと採取の許可は、その量 や石の大きさ、採取の場所、利用目的などで判断されますので、市民活動のイベントなどであっても河川生産物を利用する企画がある場合は、事前に管轄の河川管理者に問合せた方が良いでしょう。

川原の石を持ち寄って、神宮の敷石に 「宮川河口域・神宮と水」

 

一級河川に個人で橋をかけることは出来ますか?NEW!

河川法では、一級水系に連なる全ての川や湖沼などが一級河川。ということは、自宅の前を流れている小川 が一級河川だということもあり得るわけです。生活のための通路として、個人が公共の水路に橋を設置したり、蓋をするには、管理者である国や自治体などに申請して、河川占用許可(水路の敷地を個人目的で使用するための許可) をもらう必要があります。許可が下りるのは本当にやむを得ない場合に限られ、水の流れを妨げないこと、構造物の強度、管理などが総合的に判断されます。又、設置費用は自己負担で、橋の延長や面 積に応じて占用料金がかかります。

20年に一度、市民の浄財で架け替えられる伊勢神宮・宇治橋 「宮川河口域・神宮と水」
住民主体の橋造り・水路上橋建設緩和特区構想 「川が安らぎを与えてくれる街」(株式会社間組WEBサイト内)


3.雑学

 

 

なぜ川を「かわ」と呼び、「川」と書くようになったの? 

水の流れる音を「がはがは」とあらわしたことからという説もあります。又、中国伝来の文字「河」を、古事記では「賀和・加和」と書いて「かわ」と読ませていたとする資料もありました。インドはじめ東南アジアには、川をkaha・kawa・kanwaと呼ぶ地域があるそうで、日本語の「かわ」と似ています。インドでは、聖なるガンジス川、「ガンガ」が訛ってkawaと言うようになったのだとか。「川」という字は象形文字で、川の流れそのままをあらわしています。両側の二本の線が川岸で、真ん中が水の流れです。

 

日本で川の工事が始まったのはいつごろですか?

太古から人類は泉や川に飲料水を求めていましたが、発掘調査などによると、稲作が始まった弥生後期(紀元前50年〜後1世紀頃)には、すでに治水のための護岸工事のようなものが行われていたようです。

 

河・川・河川はどう違うのかな?

「河」はもともと中国で川をあらわす言葉でしたが、現在日本では一般 的に大きな川をイメージして使われています。「川」は大きさに関係なく川自体をあらわす言葉です。「河川」は河川環境・文化・清掃など、川を水空間として大きく捉えて使っているようです。

 

川岸で見かける川の名前の看板に英語名が書かれているけど、表記方法にルールはありますか?

多摩川なら「Tamagawa River」、でも江戸川は「Edogawa River」ではなく「Edo River」となっています。英語表記には一定の法則が定められているわけではありません。看板をつくる際、行政担当者が英語にしたときの余韻や、間違えずに読めるようにと配慮しているようです。

 

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