日本版PFIの要点(第二弾)
平成10年3月20日
参議院議員 岩井国臣

 去る3月11日の建設工業新聞に表記の見出しで記事がでた。その中で、私に関する記事は次の通りである。

*自民党の岩井国臣参議院議員は、5日に開かれた全国中小建設業協会(全中建、小野きんや会長)の懇談会の席上「自民党は景気対策の目玉としてPFI導入を検討している。大手はPFIで大型プロジェクトを、中小はこれまで通りの工事を受注し、結果的に工事量がプラスになるようにする。」・・・・・「現状の景気状況では英国型のPFIなど考えられない。長期的な課題としては残るが、今はあくまで景気対策重視。」
 いつもの通り必ずしも正確に私の言ったことが書かれていないので、この際、私の考えの骨子を発表しておきたい。
 

1、PFIについての基本的な認識
       ・・・建設界代表の立場に立って・・・

 我が国では、今後、急速に高齢化が進展するところから、投資余力のある21世紀初頭の間に、社会資本の整備というものはおおむね終えておくことが肝要である。
 しかし、現状のままでは、住宅・社会資本のストックが不十分のまま高齢化社会突入する可能性があり、そうした事態を回避するためにも、どうしてもPFI(プライベイトファイナンス主導)による公共事業促進の制度を確立する必要がある。平成十年度は「財政構造改革元年」であり、片方で財政構造改革をしっかり進めながら・・・21世紀に向けて力強く住宅・社会資本の整備を進めていく必要があるのである。この2つのことは決して矛盾するものではなく、両立しうる。私の認識としては、我が国経済が正に戦後最大のピンチに見舞われている今日、21世紀における確かな経済基盤を作り上げるまたとないチャンス、公共事業促進の制度確立のまたとないチャンス、公共事業の計画的な推進を図る制度確立のまたとないチャンスであると思う。
 
 

2、PFIの類型とステップについて(日本式PFI)

(1)類型

類型1:公共負担をともなわないPFI
    (第二関門架橋等のBOT、施越し工事)

類型2:一部公共負担をともなうPFI
    (再開発事業、高速道路の道の駅、ゴミ発電、光ファイバー敷設事業等)

類型3:リース方式によるPFI
    (神奈川県の県立美術館、大阪府合同庁舎、富士吉田市市立病院等)

類型4:公用財産の有効活用を図るためのPFI
    (マイクロ回線などの通信設備の管理運営等)
 

(2)ステップ

 また、PFIの今後の進め方については、その塾度を勘案して、3つのステップに分けて考えた方がよい。それらを混同して議論してはならない。

*第1ステップとしての作業は、第五次緊急経済対策として実施するPFI事業。

*第2ステップとしての作業は、平成十一年度の予算要求時点においておおむねリストアップできるPFI事業。

*第3ステップとしての作業は、第二ステップの作業でリストアップされたものの内、平成十年度中に具体化する。さらに、第二ステップの作業以降新たにクローズアップされるようになったものがあれば、それも平成十一年度のPFI事業として追加する。
 

 第一ステップのPFIとしては、類型1(施越し工事)と類型3のPFIが考えられる。
類型2や類型4のPFIについても、「大型の調査費」は組むべきである。
 
 

3、類型ごとのPFI

(1)類型1

(1・1)施越し工事について

 平成十年度は、財政構造改革により公共事業の抑制がかかっている。このような抑制については、景気対策の観点は別にしても、少なくとも公共事業の効率的・効果的な執行という観点からは問題がある。
 つまり、大規模な工事については契約はできても経済的なスピードで施工できないものがでてくる。
 しかし、それらについても、PFIを採用し、施越し工事を認めさえすれば、余分な公共負担をともなわないで(工事費の支払いを当初の年割り計画通りとする)、経済的施工が確保できる。
(注:PFIを採用したことによる費用の増加というものが、一切、発注者側においてない・・・つまり、利子はみない、これが大前提である。)

 施越し工事を認めることにより、少なくとも施工のスピードは上がるので、緊急的な景気対策にはなる。地方を主体に直轄も含め全体で2兆円を超える工事量がある筈だ。
 
 

(1・2)その他

 内需拡大の効果という観点から言うと、やはり大型プロジェクトの導入が一番効果的であり、第二関門架橋、リニアモーターなどのBOT事業については、本格的なPFIの対象プロジェクトとして至急検討する必要がある。

 しかし、残念ながら、これをすぐに具体化することは困難だ。緊急経済対策としては、ちょっと間に合わない。
 

(2)類型2

* 一定区域の市街地整備において公共空間(公園又は治水緑地)が確保された場合、空中権の移転というものでなくても、関連区域の建築物に対し容積率の然るべきボーナスを与えるということは可能ではないか。その程度についてはいろいろと議論があるとしても、少なくとも建築基準法上は可能でないかと思う。
 都市における生活環境という視点に立ったとき、自然環境の回復は極めて重要な問題であり、ビオトープを積極的に進める必要がある。このような視点に立った再開発事業等の市街地整備をPFIでやるべきだ。

* 高速道路において、インターチェンジの追加設置の要望が強い。この度の高速道路法の改正によって、サービスエリア、パーキングエリアに付随して商業施設やレジャー施設を等民間施設の設置が可能になるが、その際、高速道路通行料金の自動徴収システムを設置することによって、一般道路との出入りが可能になる。
 高速道路と一般道路との出入り施設は、インターチェンジやランプを補完するものであり、予算制度上は公共事業費の導入が可能である。したがって、今後新たにこういった民間施設と一体的に設置される自動車出入り施設について公共負担のルールを定め、PFI事業としてその推進を図るべきではないかと思う。

* ゴミのRDF発電については、現在、JR貨物が青森の自己敷地内で建設を検討中であるが、広く旧国鉄跡地の有効活用という観点からその普及を図るべきではないか。RDF発電については、いろいろと批判もないではないが、PFIの目玉事業になり得るのではないか。

*下水汚泥、廃油等のプロレックス発電は、その本格プラントが札幌港で稼働中であり福岡県で建設中である。九州電力もこれの採用を検討中である。プロレックス発電は、下水処理場に隣接して建設するものであり、用地取得さえ可能であればRDF発電の抱える問題点のような問題点は全くないので、間違いなくPFIの目玉事業になる。おおいにこれを進めるべきだ。

* 河川管理用の光ファイバーは、民間に開放することを認め、その有効活用を図るべきである。後述するマイクロ回線網も含め、高度情報化関係の事業はPFIの目玉事業になり得るのではないか。
 マルチメディアの世界の進歩は実に激しい。進んでいるものも当然あるけれど、全般的には、日本はアメリカに10年遅れていると言われている。余程関連インフラの整備を急がないと我が国は取り返しのつかないところへ追い込まれてしまう。高度情報化関連の事業はPFIで飛躍的な整備を図るべきである。

* 商店街と一体的に整備される地下駐車場や地下道路、共同溝やケーブルボックス、河川管理用光ファイバーなどの用地取得の不要又は問題の少ない多目的施設については、公共負担のルール並びに公共負担の年次計画などを定めるなど必要な条件整備をして、内需振興の見地からPFI事業としてその推進を図るべきと考える。

* 高速道路等の一連の料金体系とは切り放して独自に料金の設定が可能な有料道路や有料の橋などは、PFI事業制度を作っておくべきである。
 

(3)類型3

 現在、神奈川県では、小田原合同庁舎と県立美術館(新館)をリース方式で整備することを検討中である。このリース方式については、現行の県債発行にともなう元利返済との比較になるが、財源不足に悩む地方公共団体において、この方式は大変有望である。用地取得の終わっているものについては、極力、平成10年度着手とする。
 

(4)類型4

 マイクロ回線などの通信設備については、かなりの部分が民間に管理委託が可能であるので、民間に管理委託すると同時に設備の自由使用を認める。これにより、管理費の節減を図るとともに高度情報化の進展に資することができる。

 

注:3月26日に決った自民党のPFI推進要綱では、以上の例示とは別に、JRの請願駅やリサイクル施設などが例示されている。どういう事例が今後出てくるのか、それこそ広く民間からアイディアを出してもらう必要がある。ここでは、ほんの一部を例示したに過ぎない。
 
 

4、PFI制度の原則
 

 3月11日の建設工業新聞が指摘するように、PFI導入に当たっては、しっかりした基本理念を国民に示す必要があるし、さらには3月19日の日本経済新聞が指摘するように、80年代の民活の反省に立って官と民の線引きをきちんとしなければならない。これらについては、既にUPしたものもあるが、いずれ詳しくは、機会を改め、私の考えを申し述べるなり関連の情報をUPすることとして、以下、PFIを進める際の原則についてとりあえずそのポイントを擧げておきたい。

(1) 第三の自由・民主主義改革の一貫として行うものであること。したがって、当然のことその哲学(新たな市場経済の哲学)に適うものであること。

(2) したがって、80年代の民活の反省に立ち、官民の新たな役割分担に基づき、民間が自主独立的に形成できるものであること。

(3) 国家財政の硬直化を招かないものであること。

(4) したがって、一定規模以上の国庫債務負担行為を伴うものにあっては、所管大臣の認可と国会承認を得たものであること。
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Iwai-Kuniomi