タイトル: 622 . いびつな公共事業?

5月29日の日経新聞の第一面に「どうするニッポン 都市の反乱 いびつな公共事業」という見出しで論説が載っておりました。要するに、「都市の公共投資がここしばらくずっと落ち込んで行って地方の公共投資が増えた結果、公共投資の地域配分がいびつになっている」という指摘になっていますが、この記事には少し問題がありそうです。

 

記事の中にグラフが載っており、三大都市圏の公共投資のシェアがどんどん下がって地方の公共投資のシェアが逆に増えていっているという図になっていました。

たしかに、平成3年からちょっとそのような変化があると思いますけれども、昭和54年にはだいたい現在の2000年、平成12年のシェアだったわけです。つまり平成3年からずっと現在まで昭和54年の水準に戻っているという見方ができるわけです。

 

大都市と地方との公共投資の割合というのはけっこう今まで変化しておりまして、大きく見ますと戦後は圧倒的に地方のシェアのほうが大きかったわけですけれども、どんどん都市部のシェアが増えていって、大阪万博のころ、たぶん私の記憶では大都市のシェアが一番大きくなります。大体三大都市圏が60%くらい、地方が40%くらい、ということですが、そのように、時代と共に変化しております。従って現状は昭和54年の水準に戻りつつあるということで、決してそれがいびつになっているということにはならないと思います。

 

公共下水道にしても、道路整備にしても地方のほうが整備水準が圧倒的に悪いわけで、そのギャップを埋めるためにここ近年、地方のシェアの方が増えてきているということだろうと思います。大都市、三大都市圏において、やらなければならないこともけっこう多いわけですが、大都市部にくらべて地方の整備が全般的に遅れていること、これは道路にしても河川にしても公共下水にしてもゴミ処理の問題にしても非常に遅れていると

いうことは事実ですから、その点についてはっきりした認識を持つ必要があると思います。従って、現状をもって公共投資がいびつになってきていると、あるいは、いびつになりつつあるという認識は必ずしも正しくないように思われます。

 

Iwai-Kuniomi