アメリカの誤算

 

 

 2003年3月24日から、日経新聞で、[イラク戦争を読む]と題する4回シリ−ズものが掲載された。第1回目は、エール大学のイマニュエル・ウォーラーステインという歴史学者の話であった。彼は、今回のイラク戦争はブッシュ政権の誤算によるものとして、「ブッシュ大統領が執務室を去るとき、残していくのは就任当時より明らかに弱くなった米国であろう。」と述べているが、そのとおりかもしれない。多分そうだろう。ネオコンの国際世論からは余りにも突出した考え方が果たしてアメリカ国民の代表的なものかどうかは意見の分かれるところかもしれないが、私は、本来、アメリカは野蛮な国だと考えているので、今回の強引な戦争突入に特別の驚きはない。国際的に次第次第に反米運動が反戦運動というか平和運動とともに強まっていくかもしれない。今回のイラク戦争によってアメリカの失うものは決して小さくはないだろう。

しかし、私は、それでもアメリカは、世界のリーダーとしてあり続けるであろうし、アメリカのダイナミズムというものが衰えることはありえないと考えている。建国の精神に裏打ちされた「競争の原理」によってアメリカのダイナミズムというものがそう簡単に衰えるとは考えにくいし、さらに、私が思うに、アメリカ文化のいわゆる「ダイバーシティー」については、今後わが国の影響もあったりしていよいよ磨きがかかっていくものと考えられ、それがまた新たなダイナミズムを生み出していくのではないか。

アメリカ文化における「ダイバーシティー」は、アメリカという土壌の中で発酵するのだが、その酵母菌たる「平和の原理」は中沢新一いうところの「環太平洋の環」の国々における伝統文化の中に見出されるであろう。アメリカ文化における「ダイバーシティー」は、「平和の原理」によってきっとグローバルな発展をするだろう。そのことにわが国は積極的に手を貸さなければならない。中沢新一いうところの「モノとの同盟」は、まさに「日米同盟」の文化的側面である。

 

今回のイラク戦争によって、イマニュエル・ウォーラーステインがいうように、アメリカの国際的な地位が如何に低下しようと、わが国は引き続きアメリカと手を組んでいかなければならない。そのことが世界平和実現のもっとも確かな道であると思うからだ。この点を強調した上で、イマニュエル・ウォーラーステインが指摘するアメリカの地政学的不利をしっかりと認識することとしたい。

第1は、第2次世界大戦のあと、アメリカが絶対に避けなければならないとしてきたフランス、ドイツ、ロシアの接近である。

第2は、北朝鮮を窮地に追い込み牙をむかせ、韓国の懸念を受け止めずに反米感情を煽り、中国を疑い深くさせ、日本には核武装の検討を促して混乱させようとしている。

第3は、石油問題はサウジ抜きで考えられないが、そのサウジでは・・・・米国とは距離をおくべきだと考える王族の一派がはじめて優勢になりつつある。

第4は、イラク戦争は長期戦になる可能性があり、アメリカは核を使うかもしれない。もしそうなれば、10数カ国は核配備を急ぐかもしれない。

 

 要するに、今回のイラク戦争によって、世界大変動が始まるということだし、その結果、世界は不安定極まりない状態になりかねないということであって、私たちはこのことを冷静にしっかりと認識しなければならないのである。アメリカには、当然、言うべきは言っていかなければならないが、アメリカに対する発言力を発揮するためには、アメリカとの同盟をより強固なものにしていく必要がある。そのためには、国民レベルのコミュニケーションが重要であり、文化交流が重要である。日本の中にも親米派を増やしていかなければならないし、アメリカの中にも親日派を増やしていかなければならないのである。そういう地道な運動でしかアメリカは変わらないと思う。だから、地道な運動こそ重要なのである。過激な反米運動はダメだ! 親米派とのネットワークによって、アメリカはダイバーシティー国家(サラダボウル国家)に変っていかなければならないのだし、また私たちも、親日派とのネットワークによって、アメリカをそれほど野蛮でない国に変えていかなければならないのである。

 

次へ!

 

Iwai-Kuniomi