参議院憲法調査会(平成16年5月26日)

 

                    参議院議員 岩井國臣

 

 私たちは「歴史と伝統・文化」を生きています。過去と現在と未来というプロセスの中で、今私たちは現在を生きています。未来の人たちにとって今を生きている現在の私たちの諸活動そのものが「歴史と伝統・文化」であるわけでありまして、そういう意味で私たちは「歴史と伝統・文化」を生きているのであります。私たちは「歴史と伝統・文化」に生きているわけではありません。「歴史と伝統・文化」を生きているのであります。

 さて、御承知のように、イギリスの憲法はいわゆる不文律憲法でありますが、私たちはその意味するところを正しく認識しておく必要があるかと存じます。

 その思想の代表としてバークの哲学がありますが、ホワイトヘッドによれば、「歴史と伝統・文化」を重視する哲学は全く正しいけれども、バークの哲学は必ずしも十分でない。現在を生きる私たちとしては、常に革新に努めなければならないのであって、バークの思想はその点が不十分であるとのことのようであります。すなわち、ホワイトヘッドによれば、プロセスという考え方が大事なのであって、バークの哲学はその点が不十分というのであります。

 なお、先ほど笹川参考人からロックの名前がちょっと出ておりましたけれども、私はロックとは対極にあるバークの哲学の側に立っていることを念のため申し上げておきます。バークは基本的に正しいけれども、ホワイトヘッドの考え方により一部修正が必要であると考えているのであります。

 私たちは、今、憲法論議に際し、ホワイトヘッドの象徴論を十分参照しながら天皇の象徴性を考える必要があると思います。

 再度申し上げますが、私たちは「歴史と伝統・文化」に生きているのではありません。私たちはあくまで「歴史と伝統・文化」を生きなければならないのであります。そういう意味で、天皇は我が国の「歴史と伝統・文化」の象徴であります。それがゆえに、天皇は我が国の国民統合の象徴になり得るのであって、憲法改正にあってはそのことの論理が明確にされなければならないと私は考えております。

 本日、阪本参考人から天皇条項は総合的かつ慎重に調査しなければならないとの指摘がありましたが、今私の申し上げた点も含めて、上杉調査会長並びに理事の皆様方の御理解を賜り、この調査会において更に論議を深めていただくよう、切にお願いを申し上げる次第であります。

 ありがとうございました。

Iwai-Kuniomi