空也上人

 

 

これは、京都六波羅密寺にある空也上人の木像ですが、よく御覧下さい。胸に金鼓(かね)を下げ、右手に橦木(しゅもく)、左手に鹿の角を挿した杖、腰には鹿の革の袋をさげるというちょっと珍しいいでたちではありませんか。口から出ているのは阿弥陀仏で、これは空也上人が念仏を唱えると六体の阿弥陀仏が現れたという口承をもとにそのように作られているのでありますが、それはともかく、鹿の角と鹿の袋には何かいわれがありそうですね。

 

空也が、貴船の山に篭って修行していると、毎夜のごとく窓辺にまで近寄ってくる鹿がありました。上人はこの鹿がやってくるのを毎日のように楽しみにして友のように愛しました。

ところが、ある日からさっぱり姿を見せないので心配になり尋ね歩いていると、手に鹿の角と皮を持った狩人に出会いました。この哀れな鹿こそ空也が探し求めていた鹿だったのです。

 

空也は訳を話して鹿の角と皮を乞い求め、皮は袋として身にまとい、角は杖の頭に取り付け、生涯身につけて愛用し、代わりに狩人には瓢箪を差し出し、叩いて念仏することを勧めたということです。

 

狩人は、殺生の罪を悔い、恥じ、空也の弟子となって踊り念仏を修行して民間布教にあたるようになったということです。

 

 

Iwai-Kuniomi