リゾートオフィス等地域振興モデル事業の実施に関する基本方針(私案)

2008年2月27日
国土政策研究会岩井国臣


1、目的

 わが国は情報技術(IT)の最先端国家を目指すこととなっている。今後いろんな取り組みが行われるのだが、それによって情報技術(IT)革命が進展するであろうし、それによって人々のライフスタイルも大きく変革されていくものと思われる。

 ライフスタイルの変革をもたらすものは必ずしも情報技術(IT)革命だけではない。21世紀という新しい時代は、平和の時代であり、コミュニケーションの時代であり、旅の時代である。そして何よりも感性の時代である。それら新しい時代の動きは自ずと人々のライフスタイルを変革せざるをえない。

 情報技術(IT)革命とライフスタイルの変革に対応した新しい国土政策が必要であり、コンテンツ産業及びビジター産業を意識した新しい地域振興策が必要である。コンテンツ産業及びビジター産業を意識した地域振興策というのは、コンテンツ産業及びビジター産業を育てるための地域振興策であると同時に、コンテンツ産業及びビジター産業による利益を積極的に活用する地域振興策である。そのためには各機関においていろんな試みが行われる必要があるが、国土交通省としても、その所管事業の中で何か新しい取り組みを行う必要がある。

あたらしい時代の二大潮流を意識しているところにこの事業の新鮮味があるし、育成と活用という両義性を有しているところにこの事業の国家政策上の意義がある。

 かかる観点から、情報技術(IT)革命とライフスタイルの変革に対応した地域振興策をモデル的に実施する。そして、それによって21世紀における国土づくりのニューフロンティア・田園居住地域(過疎地域)の整備のあり方を指し示すこととしたい。

 

 

2、事業の概要

 

 2005年に実現されるべき超高速通信の先行的整備、自然環境の保全と整備、リゾートオフィスやクラインガルテン等交流施設の整備並びに中心都市との連携強化のための施設整備を行うとともにそれらに必要な関連公共事業を行う。

 

(1)事業実施地域

 事業期間はおおむね5年とし、その間にコンテンツ産業及びビジター産業の誘導を図る。  

 なお、関連公共事業についてはPFIのモデル事業として行うよう市町村や都道府県に働きかけるが、それを本事業採択の条件にはしない。 

(2)調査地域 

 希望したにもかかわらず事業実施地域から洩れた地域については、必要に応じ、3カ年の調査を行い、コンテンツ産業及びビジター産業の誘導を図るための計画を策定する。 

(3)予備調査地域 

 現時点で地域要件に合わない地域で希望があれば、3カ年の予備調査を行い、コンテンツ産業及びビジター産業の誘導の可能性を探る。
 

3、事業のイメージ 

(1)河川及び渓流を中心に、魚の上りやすい川づくりや多自然型川づくりなど「エコロジーネットワーク(日本生態系協会)」の先行的整備を行う。
(2)地域における新産業の振興は、コンテンツ産業及びビジター産業を中心とする。そのためにはリゾートオフィス、クラインガルテン並びに各種交流施設の設置を図るとともに、コンテンツ産業強化のために芸術家や創作者の定住又は滞在環境を整備するものとする。この場合、地域に関する有益な資料はすべてデータベース化する。
(3)中心都市との連携を図るため、交通条件の改善等必要な関連公共施設の整備を行う。
(4)地域の自然、歴史、文化についてのサイバー博物館及びサイバー大学をつくる。この場合、その地方はもとよりわが国の自然、歴史、文化についても十分な学習ができるように配慮することが重要である。  

4、地域要件 

(1)高速道路、空港などの交通条件に恵まれていること。
(2)光ファイバーなどの超高速通信条件に恵まれていること。ただし、現状においてこの条件を満たさない場合、光ファイバーの敷設に関しては道路管理及び河川管理との連携を図ることによって、早急な条件整備を図ることが可能な地域であること。
(3)オートキャンプ、渓流釣り、カヌー、レガッタ、登山、ハンティング、ゲレンデスキー、山スキー、歩くスキー、自然歩道、バードウオッチング、サイクリング、ゴルフ、乗馬、ホーストレッキング、ハングライダー、クラインガルテンなどのリゾート環境に恵まれている こと。ただし、自然環境に恵まれてはいるが現状において十分な施設がない場合、それらリゾート施設の実現性の高い整備計画があればいい。
(4)ビジターに対する地域の受け入れ体制が整っていること。例えば、地域のサークル活動などにビジターが自由に参加できること。これからのビジターは、単なる観光や研修だけでなく、訪問地でのさまざまな体験や交流により深い感動を覚えるのであり、そのための地元の受け入れ体制というものが、このモデル事業を成功させるかどうかの極めて重要な鍵を握っているものと思われる。
(5)おおむね60分以内のところに中心都市があり、その中心都市に文化施設等の集積があること。
(6)当該市町村及び中心都市の文化施設等の運営管理をPFIの対象事業とすること。
 

5、市町村、都道府県、国の責務 

(1)市町村、都道府県、国は、必要な公共事業の整備計画を明示する。民間事業者は、それに基づいて各種事業を展開することとなるが、必要に応じ、民間事業者は自らPFIで必要な公共事業を実施することが出来るものとする。
(2)市町村、都道府県、国は、それぞれ有する地域情報及び関連調査結果のデータベース化を図る。市町村、都道府県、国はすでに過去の調査結果等に基づくいろんな地域情報を有している。コンテンツ産業を支援するため、まずは、これのデータベース化を図るものとする。

さらに、地域の新たな振興を図るとともにコンテンツ産業のわが国らしい成長を期すためには、内外関係者の意識などKJ法による地域調査を実施し、これのデータベース化を図ることが必要である。