入国管理について

 

                         平成16年4月8日

                         参議院議員岩井国臣

 

1、テロの脅威とわが国の入国管理について

 

質問(対外務省)

 スペイン総選挙における国民党の敗北はわが国にとってもひと事ではない。スペインは、御承知のように、終始一貫アメリカを支持しイラクへ軍隊を派遣してきたが、これに鉄槌をくだすために、三月十一日、遂に、列車爆破テロが発生したのではないか。この点、政府はどう見ているか。政府の認識を伺いたい。

 

質問(対外務省)

 スペインで与党が敗北した一因としては「対米追随政策」への世論の反発が指摘されている。勝利した社会労働党が公約に掲げた軍隊の撤退に乗り出せば、日本のイラク支援活動についても大きな影響が出るのは間違いない。世論の動きについて政府はどう見ているか。

 

 ここが肝心であります。政府は世論の動きに惑わされてはならない。むかし、声なき声といった人もあったが、日本はじっくり腰を据えてアメリカ支持を貫かなければならないと思います。ゆめゆめ自衛隊をイラクから撤退させるというような愚をおかしてはならない。これは・・・暫くの間のことをいっているのではありません。ずっとのことであります。どんなことがあろうと・・・、日本は・・・日米同盟を基軸として外交を展開しなければならないのであります。

 マドリードの列車爆破テロに惑わされてはなりません。マドリードの列車爆破テロを恐れてはなりません。備えあれば憂いなし。政府は磐石の備えをして、絶対にわが国でテロを起こさせてはならない。絶対にだ。

質問(対内閣官房)

 マドリードの列車爆破テロにかんがみ、政府はどのようなテロ対策を講じようとしているのか。

 

 

 国際テロの脅威は日本にも確実に迫っております。テロ組織アル・カーイダの指導者の一人とされるアブムハンマド・アルアブラジと名乗る人物が昨年十一月、自衛隊をイラクに派遣すれば東京の中心部を攻撃すると二度にわたり警告。幸い、テロは起こらなかったが、すでにイスラム過激派などが東京に潜入しているのではないか。「顔立ちなどが日本に溶け込みやすい東南アジア出身のテロ要員が、観光客などを装って入国を図る恐れがある」とも囁かれています。

質問(対公安調査庁)

 アル・カーイダと関係があり、東南アジアのほぼ全域にネットワークを張る過激な東南アジア最大のテロ組織ジェマア・イスラミア(JI)がテロ計画に関与する公算が大きい。治安当局公安調査庁は現在までにJI構成員の日本潜入に関する具体的情報をつかんでいるか。

 

 JIは東南アジア一帯にイスラム国家を樹立することを目指しているようであります。ジェマア・イスラミアという組織名は「イスラム共同体」の意味で、一九九〇年代初頭から活動を本格化、アル・カーイダからの資金提供を受け、構成員百人以上がアフガニスタンで軍事訓練を受けたと言われております。工作員の中心はインドネシア中部ジャワの全寮制宗教学校を卒業したイスラム教徒だそうですが、様々な方法で人材を育成しているとされています。二百人以上が犠牲となった二〇〇二年十月のバリ島爆弾テロのほか、昨年八月のジャカルタの米国系ホテル爆破にも関与が指摘されてきたのであります。

 JI以外にも、フィリピン南部では、アル・カーイダとつながりがあるアブ・サヤフや、南部ミンダナオ島の分離独立を目指すモロ・イスラム解放戦線(MILF)が活動している。インドネシア北部では、アチェ人による「自由アチェ運動」(GAM)が分離独立のための闘争を続けている・・・などと言われておりますね。

質問(対外務省)

 テロの脅威は絶対に除かなければならない。どんなに予算と労力がかかってもテロの脅威は除かなければならない。東南アジアにおけるテロ組織に対して、日本政府はどのような措置を講じようとしているのか。

  

 

 

2、入国管理をアメリカ並みにせよ! 

  

質問(対外務省)

 テロ組織の活動が一つの国の中にとどまらない、複数国あるいは複数大陸に及ぶグローバル・テロリズムとの戦いにおいて国際的な情報共有は重要である。国連安保理決議1373(2001年9月28日採択)では加盟国に対して全18項目におよぶテロ対策をとるように要請している。日本は、どのような回答をしたのか。

 

 米国では、テロ対策の一環として、2002年6月6日、出入国管理に関しても新制度が導入されたと聞いております。「国家安全保障・出入国登録制度」(National Security Entry-ExitRegistration System)という制度ですね。

 この制度は、国家安全保障上、懸念の対象となり得る外国人の出入国及び在留管理を厳格にするもので、30日以上滞在する14歳以上の外国人は、滞在開始から30日以内に各事項を登録し指紋採取に応じなければならないようになっている。これまで、イラン、イラク、リビア、シリア国籍の者に限定的に適用されてきたが、2002年6月からアラブ諸国からの外国人に空海港での指紋採取、写真撮影を行い、犯罪者とテロリストのデータベースと照合する・・・そういう誠に厳格なものであります。

 さらに長期滞在者は、滞在開始から30日以内に移民帰化局に登録し(住所、在学、就労証明)、以後1年おきに行う。不法滞在者を把握し、強制出国措置を強化する。外国人への監視は留学生にも及んでいるようですね。SEVIS(Student and Exchange VisitorInformation System)は、各種の学校は留学生の氏名、住所、専攻等のリストを連邦政府に届け出るシステムだそうですが、移民帰化局からシステム利用を認可されない機関は外国人学生を登録できないようになる。SEVISとは別に、ムスリム国家24カ国出身の学生には・・・・移民局が年に一度の指紋採取、写真撮影、インタビューを行っている。そのうえ、9.11テロ後は、すべてのビザ申請者をCIAとFBIがテロ・犯罪者リストと照合しているため、ビザ発給が遅れ、米国入国者に影響を与えていると言われております。また、報道(2002年10月)によれば、FBIが米国内の数百人のムスリムを24時間監視(電話、インターネット、クレジットカード請求、旅行、モスク訪問など)体制においていると言われております。

 

質問(対法務省)

 アメリカでは厳しすぎるとの批判もないではないが、しっかりした身元引き受け人が要る場合を除き、原則的には、やはり外国人に対してアメリカに準ずるような監視厳格な入国・在留審査を行なわないと、「テロに対する国民の安全を守る」・・・ということはむつかしいのではないか。

 こうしてアメリカは監視社会と化しているようで、多数に影響がでており、リベラル派、人権団体等からは厳しい批判が出されているようであります。全米で二十以上もの都市で、連邦機関がテロとの戦いを名目に権限を強化しておりますので、とくにムスリム系の市民の権利を犯すことを憂慮する決議が出されてきた。 しかし、テロから国民の生命を守るためには仕方がありませんね。

 

 

 

 

3、「アムネスティ政策」というのではなく・・・!

  

 さて、日本に移りますが、犯罪対策閣僚会議というのがあります。その犯罪対策閣僚会議の行動計画において、不法滞在者を今後五年間で半減するとされておりますね。本年はその目標に向かう最初の年であり、法務大臣は、先に、不法滞在者対策のより一層の推進に努めていく旨、所信をお述べになりました。不法入国者や難民の問題も深刻ですが、私は、不法滞在者の問題に焦点を当てて質疑を行ないたいと思います。

 

質問(対法務省)

 今までの入国管理行政の流れのなかで、今回の法改正はどのような意義を持つのか御説明願いたい。

質問(対法務省)

 今回の法改正では、不法滞在者に対する罰則の大幅な強化が図られているが、そういう罰則の強化だけで不法滞在者が半減するのか。

 

 罰則の強化は確かに必要だが、私は、罰則の強化だけでは不法滞在者はなかなか減らないのではないかと思います。

質問(対法務省)

 現在、不法滞在者について、法務大臣が特別に在留を許可する場合があるようであるが、どのような場合か。その許可条件について、いくつかの実例をあげて具体的に説明願いたい。

 

 今説明のあった法務大臣の特例措置をもっともっと広げるべきではないか。テロ対策としては不法滞在者のなかからテロリスト及びテロ支援者をあぶり出す必要があるし、また、不法滞在者のなかには誠にケシカラン輩も多く、犯罪をおかす人も少なくないので、断固、その摘発につとめなければなりません。

 しかし、逆にですね、逆に、共生社会を積極的にすすめるには、不法滞在者のなかからわが国にとって好ましい外国人を厳選しながらも、その滞在者を認めるべきでしょう。そして、そういう人たちからいろいろと情報を採るべきでしょう。大事なのは不法滞在者に関する情報なのです。あらゆる情報を総合的に集めなければなりません。不法滞在者に関する情報が少なすぎるのではありませんか。

 わが国にとって、真に、好ましい外国人は、わが国の味方である筈です。そういう人を味方につけて、ケシカラン輩を、断固、摘発すべきです。

 私は、不法滞在者対策も、新しい時代にあった形で抜本的な見直しが必要ではないかと考えております。ひとつの差別化でありひとつは共同化であります。

 差別化は、外から来る人の差別化という意味で、良い外国人と悪い外国人を差別しろという意味であります。まやかしの人権思想で悪い外国人を甘やかすことはない。私はそのように考えています。

 共同化は、内に住む人の共同化で、良い外国人は積極的に受け入れて、地域における徹底的な共同化を図らなければならないと思います。移民を積極的に受け入れて、良い外国人との徹底的な共生社会をつくっていかない限り、日本の未来はない。私はそう考えております。

 今、200万人を超える外国人がこの国に住む。在日韓国・朝鮮人などの特別永住者約50万人に加えて、研究者や芸術家、ビジネスなどの在留資格を持つ人、南米からの日系人、技能実習のための研修生、それに在留者の家族や学生たち。滞在期間が過ぎるなどした「不法残留者」約22万人も含まれる訳であります。

 問題は、こうした現実があるにもかかわらず、増え続ける外国人にどう向きあうのかという哲学が、政治にも行政にも国民の意識にもまだ希薄なことではないでしょうか。 

 実際、外国人の暮らしにかかわる行政の所管は、ビザは外務省、入国管理は法務省、雇用や福祉は厚生労働省、子どもの教育は文部科学省といった具合で、横の連携は乏しい。自治体は次々に持ち込まれる問題に対症療法的に対応せざるを得ない状況にあります。

 一方で、日本人の間には、外国人が増えれば犯罪ももっと増えるのではないかと懸念を抱く人も結構多いのです。また、医療費や言葉の問題で病気の治療を受けられなかったり、子どもを学校にやれなかったりする外国人が抱える人権上の問題も決して少なくない。抵抗の壁は実に大きいのですが、移民の問題は、もはやこのままにしておけないところに来ているのではないでしょうか。

 日本商工会議所は昨年の秋、外国人労働者の受け入れについて、専門・技術分野で拡大して欲しい旨政府に要請しましたね。外国人の看護師、介護士などからも、日本語の会話力や看護水準を含めた能力を前提に受け入れの道を開くよう求めております。総合規制改革会議も昨年末の「規制改革の推進に関する答申」で、自由貿易協定FTAとの関連で、入国管理政策の大幅な規制緩和を首相に提言しています。

 こうした要請を受けて、政府は今年の一月に閣議決定した「構造改革と経済財政の中期展望」で、東アジア諸国との自由貿易協定を含む経済連携を図る中で、労働市場開放モノ、人、資金等の流通、移動を促進する方針を確認されました。わが自民党も、労働市場人の移動の促進開放問題について、FTA推進のための特命委員会を中心に、「政府与党連携して万全の体制」で臨む姿勢を明確にしております。

 私は、そういった動きを見ながら、その根底にある・・・わが国におけるこれからの発展の原理は何かというようなことをいろいろと考えております。私は、21世紀におけるわが国の発展の姿(かたち)を支える原理を「ダイバーシティ」というか「違いを認める文化」に見ており、その原理に照らしていえば、FTAとの関連はもちろんのこと、今いろいろと言われている労働市場の自由化は大事な問題であります。しかし、私は、国際化の時代、草の根レベルの国際交流という面で、農山村地域の果たすべき役割は実に大きいと考えています。今、農山村はまさに崩壊しつつありますが、農山村を崩壊させてはならないと思います。農山村が持つ日本の伝統・文化を崩壊させてはならないと思います。

 以上述べましたような、今とやかくいわれている主として都市に関わる移民問題だけでなく、農山村の崩壊を支える積極的な移民政策こそ今日本に求めれているのだと考えています。

 都市に限らず、農山村に限らず、国際的に名誉ある地位を占めたいと願う日本国としては、然るべき哲学とそれにもとづく総合的な移民政策を思いきって展開する時期に来ているのではないでしょうか。そこで質問でありますが・・・・。

 

質問(対法務大臣)

 わが国は、外国人労働者を「専門的・技術的労働者」といわゆる「単純労働者」に二分する考え方に立っているが、中間的な『一般技能労働者』というカテゴリーを設け、『単純労働者』とは異なる観点でこれを受け入れ基準を考えるべきではないか。法務大臣の見解を聞く。

 

 

 わが国は、不法滞在者に対して、いくつかの諸外国が試みているような「アムネスティ政策」を採っておりません。私も、基本的には、いわゆる「アムネスティ政策」には反対であります。条約における人権、いわゆる国際人権については一種の「まやかし」を感じるからであります。人権の概念そのものに曖昧さを感じるからであります。人権というものは人間の権利なのかそれとも国民の権利なのか、そこのところが極めて曖昧だ。人権がイデオロギーだと言われる所以であります。人権は言うまでもなく憲法で保証されている権利ですが、憲法もそうだし、人権概念も歴史感覚から作り上げられるものではないでしょうか。歴史感覚を抜きにして人権を語ってはいけないと、私は考えています。大事なのは歴史感覚なのです。それでは、国民の権利としての人権、しかも歴史感覚を十分踏まえての人権問題なのであります。ですから、他の国がそうやっているからとか、国際人権がそうだからというのではなく、わが国の「歴史と伝統・文化」にもとづいて、不法滞在者問題をどう考えるかであります。私は、「アムネスティ政策」というのではなく、現在の延長線上で、わが国の「歴史と伝統・文化」に対してもっと深い洞察を加えながら、わが国らしい政策を展開しなければならないと考えます。わが国らしいもう少しきめ細かい施策が講じなければならないと思うのであります。

質問(対法務大臣)

 「アムネスティ政策」というのではなく、現在の延長線上で、法務大臣の不法滞在者に対する特別措置制度の大幅緩和をすべきだ。法務大臣の所見を伺いたい。

 

 私は、わが国の「歴史と伝統・文化」をいろいろと考えながらわが国のあるべき姿(かたち)を考えてきている。今それを説明する時間はありませんが、わが国のあるべき姿(かたち)として、アメリカと同様「ダイバーシティー」を合い言葉に、多民族国家を目指すべきだと考えております。移民は積極的に受け入れるべきだし、入国管理行政もぼちぼち抜本的な転換を図るべきだと考えております。

質問(対法務大臣)

 アナン国連事務総長が日本の移民政策について、もっと前向きの対応をすべきとの意見を述べている。そのことについて、法務大臣はどう思っているか。

 

Iwai-Kuniomi