国際世論をどう形成するか

 

 

 ハーバード大学の入江昭教授(歴史学者)は、3月25日の日経新聞で、イラク戦争は、グローバル化時代の新しい戦争という見方をする人が少なくないが、それは一面的な見方であって、第一次世界大戦と酷似している面もあり、より広範な戦争へと進展する危険をはらんでいると言っている。第3次世界大戦の危険性もあるとのことである。21世紀は平和の時代でなければならない。第3次世界大戦とならないようにするためには、どうしたらいいのか。真剣に考える必要があろう。まずは、入江昭の見方の要点を見ておこう。現在の状況がどういう点で第1次世界大戦と酷似しているのか。

 

 第1に、国際政治を決める枠組みとしてパワーポリティックスというものがある。第2に、軍事力の増大こそ国の地位を高めるのだという風潮がある。第3に、内政問題の解決が難しい場合に、政府の政策の重点は外交問題に向かいがちである。第4に、経済の国際的依存関係とは別に、思想的な主義主張がまかり通る。第5に、国際的な競争的環境の中で、先進国の傲慢さが幅を利かせる余地がある。第6に、ナショナリズムが高揚され、国際平和や協調より、対決や戦争こそ人類進化の法則なのだという風潮が出てくる。

 

 入江昭は、このような見方に立ち、次のように言っている。

 

 『 第1次世界大戦当時にも平和を追求し、世界規模での大虐殺を阻止しようとする動きはあったが、1000万人近い死者を出す悲劇を防ぐことはできなかった。幸い今日の平和に関する運動は当時より規模も大きく、国境を越えて組織化され、国際世論を形成している。歴史を動かすものは最終的には軍事力でも、経済でもなく、一人ひとりの人間、そして60億人の形成する国際世論である。 』・・・・と。

 

 私は、入江昭がいうように国際世論というものが歴史を動かしてきたとは思わないが、国際世論というものが大事であるということについては異論がない。私は、国連も国際世論もおろそかにしていいとは思わないが、国連とか国際世論というものに余り大きな期待をかけるとどんでん返しを食う恐れがあると思う。今回のイラク戦争がまさにそうである。アメリカは、国連や国際世論とは違う形でイラク戦争に突入していったではないか。将来、世界規模で平和運動が展開されて、国際世論が如何に声高に平和を叫ぼうとも、私は、そう簡単にアメリカの力の政策が変わるとは思えない。国連活動も必要だし、平和運動も必要だろう。それはそれで大いにやればいいと思う。しかし、私は、先に述べたように、日本の中にも親米派を増やしていかなければならないし、アメリカの中にも親日派を増やしていかなければならないのである。そういう地道な運動でしかアメリカは変わらないと思う。だから、地道な運動こそ重要なのである。過激な反米運動はダメだ! 親米派とのネットワークによって、アメリカはダイバーシティー国家(サラダボウル国家)に変っていかなければならないのだし、また私たちも、親日派とのネットワークによって、アメリカをそれほど野蛮でない国に変えていかなければならないのである。

 

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Iwai-Kuniomi