「水を生かした地域づくり」という夢のあるテーマでうれしく思っている。古代出雲は能登半島から山口県まで広がり、政治的、文化的にも我が国の拠点の一つだったといわれる。これを作り出したのが砂鉄と斐伊川であったといっても過言ではない。
日本の森の貯水量は、普段使う生活用水の三倍といわれている。森がなければすぐに日照りや洪水に見まれてしまう。日本の山から森林がなくなったらどうなるか、考えただけでも恐ろしい。川の恵みは森の恵みである。それを誰が守っているのかということに、私たちは思いを致さなければならない。二十一世紀の循環型社会を作るためにも、素晴らしい景観を守るためにも、みんなで力を合わせなければならない。
斐伊川上流はもろい風化した花崗岩でできており、下流に大量の土砂が流入して全国有数の天井川になった。昭和四十七年の洪水では出雲大津の土手があわや決壊寸前になり、松江市なども一週間に渡って水浸しになった。上流、中流、下流が治水事業を今進めている。日本一の治水プロジェクトで、平成二十年代前半の完成のためにも、私は不退転の決意で臨みたい。
まちづくりはまず、地域資源を生かすことだ。ここに私の提唱する全県フィールドミュージアム構想がある。本県にはなぞの古代文化、中世において繁栄を極めた石見銀山、心御柱(しんのみはしら)が見つかった出雲大社など、磨けばもっと光るものがある。
新しいものとして水を活用したといえば、たとえば県立美術館がある。目標の三十万人を大きく超えて五十九万人の入館者を達成した。しまね海洋館アクアスでは年間四十万人の目標が、九月にはすでに入館者百万人を突破した。内水面水産試験場に隣接して来年四月二十一日にオープンする県立宍道湖自然館ゴビウスは、楽しみななら宍道湖の希少種を学べる面白い施設になる。こうした新しい施設とともに、先人の残してくれたものにさらに磨きをかけてことが必要だ。
最後に水質の保全についても触れておきたい。なんといってもやらなければならないのは下水道で、本県の普及率は三八%。十年後の目標を六五%に設定して全国並みにしたい。市町村にも積極的な取り組みをお願いしている。