後戸 うしろど
仏堂の背後の入口のこと。この入口は本尊の背後にあることから宗教的な意味をもち,後戸を入った正面に本尊の護法神やより根源的な神仏を安置する。
例えば東大寺法華堂の執金剛神,二月堂の小観音(こかんのん),常行堂の摩多羅神(まだらしん)などがその典型。法会儀礼のなかで後戸の神をまつる呪法は芸能化し〈後戸の猿楽〉という呼称が示すように中世芸能誕生の舞台となった。能楽の翁を後戸の神(宿神・守宮神)といい修正会(しゆしようえ)などの延年に登場するが,古来,修正会に後戸から鬼が出現するのもまた普遍的であり,ともに後戸の宗教性を象徴している。
木下 密運
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