●第143回参議院金融問題及び経済活性化に関する特別委員会会議録第8号
平成10年10月9日
@金融安定化と取り組む総理の覚悟
A国際金融に関する情報の把握について
Bヘッジファンドなどによる「短期資本取引規制」に関する大蔵大臣の考えと今後の見通しについて
C早期健全化スキームの必要性について
D我が国金融システムが力強く再生するための道筋と取り組みについて
●第143回参議院金融問題及び経済活性化に関する特別委員会会議録第11号
平成10年10月16日
@市場というものに対する基本的認識
●第145回参議院金融問題及び経済活性化に関する特別委員会会議録第2号
平成11年7月9日
@長銀に対するヘッジファンドの六月攻勢についての認識、またヘッジファンドの恐ろしさの認識について
A金融資本市場における政府の関与のあり方について
B現状の政府の情報収集機能について
●第143回参議院金融問題及び経済活性化に関する特別委員会会議録第8号
平成10年10月9日
@金融安定化と取り組む総理の覚悟
○岩井國臣君 難航に難航を重ねました金融システム関連法案に関する与野党協議、与党は野党に譲歩し過ぎたのではないかというような批判もないわけではないんですけれども、最終的には総理の決断で急転直下解決、そして衆参ともに熱心な審議を重ねまして、ついに最終ラウンドの段階に来ました。発議者の皆さんに心から敬意を表する次第でございます。本当によかったと思います。皆もほっとしているところではないか、こんな気がします。
今大事なのは迅速に事を処理するということでございます。危機管理というのは、やる内容の問題もありますけれども、ともかくもたもたしていてはだめなんですね。迅速に事を運ばなければなりません。大分もたもたしたんですけれども、ともかく解決の運びになってきた、本当によかった、こんなふうに思います。
さて、もともと我が国の銀行は自己資本比率が非常に小さい。その上に多量の不良債権を抱えている。よしあしは別といたしまして、今これを国が救わなければ、間違いなく大方の銀行はつぶれてしまう、そして間違いなく世界恐慌に突入、こういうことだろうと思います。
総理は今国会冒頭の所信表明で、鬼手仏心で事に当たる、こう言われました。目下の大問題は言うまでもなく金融システムの問題でございまして、早期是正措置はもちろんのこと、一連のビッグバンの中でともかく世界に通用するシステムにしていかなければならない、これは容易ならざることだと思います。これからたまには総理が鬼のように見えるように断固鬼手仏心でやっていただきたいと切に願う次第であります。
私の考えといたしまして、総理が鬼手仏心で事に当たるべきは、国内のシステム改革だけではなくて、今の市場経済において、ともすれば市場の暴力といいますか悪魔の見えざる手、先般、日経新聞では市場の鬼っ子と書いていましたけれども、私は悪魔の見えざる手と、こんなふうに言っておるわけでありますが、そういう市場の暴力が働くわけでありますから、そういった外敵にも断固鬼手仏心で対処してもらいたい。
ところで、時によってということかもわかりませんが、ジョージ・ソロスなどのヘッジファンド、そういった外国の機関投資家による株式の空売りがひどい。きょうの昼の参議院本会議におきまして、衆議院大蔵委員長提出の空売り規制の前倒し法案が可決されまして成立いたしました。当初は十二月一日が空売り規制の施行日ということでありましたから、我が国の市場ではそれまでの間、ある種のヘッジファンドといいますか、ちょっと言葉が悪いかもわかりませんが、えげつない外国資本、やりたい放題やって暴利をむさぼることができたわけですね。下手をすると十二月一日までに我が国の銀行は、長銀だけではなくて、次の弱そうな銀行がそういった悪魔の見えざる手によって好き勝手にされる心配がある。そのための前倒し規制でありますけれども、挙証責任のとり方などアメリカとは法制度が違いますから、私に言わせれば、仮に前倒ししても我が国の場合はほとんど抑止効果がないのではないか、やはりそういった悪魔と戦う覚悟が必要ではないか、こんなふうに思うわけでございます。
そこで、総理に対する質問でございますが、総理は所信表明演説の中で鬼手仏心と大変難しい言葉をお使いになり、総理としての断固たる覚悟というものを披瀝しておられるわけでありますけれども、金融の安定化に取り組む総理の覚悟というものを改めてお伺いしたいわけでございます。
まだ鬼のような姿は見えないわけでありますけれども、鬼手仏心でやっていただけますか。悪魔の見えざる手とも戦う覚悟というものがないといけないんじゃないか、こんなふうに思う次第でございます。よろしくお願いします。
○国務大臣(小渕恵三君) しばしば御答弁申し上げておりますように、この内閣は経済再生内閣、経済再生をするためには我が国のこの不景気を払拭して景気を回復する。しかし、景気を回復するためには、まず経済の中核にあるところの金融機関、これが体質を強化して、今でいえば不良債権を整理して、そして力強い歩みを遂げていかなけりゃならない。この点がねらわれまして、先ほどお話しのように世界のいろいろの、何といいますか見えざる手といいますか、こういうものが働いて今日いろいろ市場も乱高下しておるようなこともあり得るのではないかと拝察をしております。
したがいまして、鬼手仏心という気持ちは、この際大手術をやらなければならない時点にありますが、心は常に将来の経済が安定していかなければならないという気持ちを込めておるわけでございます。日本は法治国家でございまして、見えざる手につきましては東南アジアでもマレーシア・マハティール首相がジョージ・ソロスと大げんかをしたやに報道も伝えられておりますが、そうした形で為替を固定するというような強硬な手段はとり得ないのが我が国のシステムでございまして、法治国家として法律を定め、それによって断固処置するというために、この二カ月間、本当に国会にもお世話になっております。
立派な法律をいただきまして、行政府としては、それをもとにして大いにひとつ金融安定システムをしっかりしたものにしていきたいというふうに考え、その上に立ってなすべきことはしっかりやっていきたい、このような考えでございます。
A国際金融に関する情報の把握について
○岩井國臣君 今、総理の方からマレーシアのマハティール首相のお話が出ましたけれども、アジアでは、ヘッジファンドこそにっくき仕掛け人だ、連中にアジアの成長の奇跡をつぶされる、恨みを抱いている人が非常に多い。タイでもそうでございます。数年前にフランス・フランをヘッジファンドにおもちゃにされましたバラデュール首相は、連中はギロチン行きだ、こういうふうに叫んだとも言われております。中国におきますソロスの研究、それはまさに孫子の兵法そのものでございます。その一節にいわく、戦いを勝利に導くには敵を知りおのれを知ることである、こうですね。中国は今、覚悟を決めて世界の経済戦争に突入したようでございます。急速な発展から生じた経済のゆがみの中でですけれども、中国は孫子の兵法で勝利を目指す、そんなことのようでございます。
そういった点にかんがみまして、大蔵省に質問をさせていただきます。
安全保障につきましてもそういう点があるわけですが、経済問題につきましても、我が国は、国益というものを考えた場合、やはり情報組織が極めて弱体ではないかというふうな気がするわけでございます。ソロスなどのヘッジファンドの行動その他、国際金融に関する情報がしっかり把握できているとは私には思えないんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(黒田東彦君) お答え申し上げます。
確かに、特にヘッジファンドにつきましては実は我が国も情報はございませんし、全くディスクローズの義務がないものでございますので、恐らく米国の当局もなかなかその行動というか投資内容については十分情報が得られていないのではないかという危惧を持っているわけでございます。
したがいまして、これまで全くディスクローズのなかったヘッジファンドのような投資基金につきまして、できれば国際的な合意のもとにディスクローズをするような仕組みが導入できないかと。つまり、一国だけにそういうものを導入いたしますと、そういう義務のないところにヘッジファンドが移ってしまいますので、そういうことをしてはどうかということを具体的に実は我が国も含めて幾つかの先進国がワシントンの一連の会議で提案をしているわけでございます。
なお、委員御指摘の情報収集の点については、確かに我が国というか大蔵省も含めて、必ずしも十分になっていない面があるということは常々反省をいたしております。各国に日本の大使館がございまして、ファイナンシャルアタッシェが相当出ておりまして、そちらから外務省を経由していろいろな情報が入ってまいりますし、またIMFや世界銀行といった国際機関からもさまざまな情報が入ってまいります。それから、いろいろな民間のエコノミストの人や、そういう人との意見交換というのもこれも非常に重要でございまして、そういうことも含めて、これまでも確かに努力はしてまいりましたが、御指摘のように必ずしも十分でないところもあるということも踏まえまして、できる限り多角的な情報の収集に努めてまいりたいというふうに思っております。
Bヘッジファンドなどによる「短期資本取引規制」に関する大蔵大臣の考えと今後の見通しについて
○岩井國臣君 去る九月二十七日、イギリスの新聞ですけれども、アメリカ連邦準備理事会を初めとして、欧米の金融監督当局がヘッジファンド向け融資に対する規制について検討を始めた、そんな報道があったかと思います。
御存じのように、アメリカの大手ヘッジファンド、ロングターム・キャピタル・マネジメントの巨額損失、つまりリスクの高いヘッジファンドが事実上野放しになっている、そういうことが表面化したわけであります。そういうことが契機になっているだろうと思いますけれども、フランスのシラク大統領、イギリスのブレア首相、いち早くそういったヘッジファンドの投機的行為に対する規制の必要性を訴えておられるわけであります。
そして、九月二十七日におけるイギリスの報道にあったわけでありますが、その翌日、先ほど言ったように二十七日の翌日、二十八日、ドイツの新しい首相になられました社会民主党のシュレーダー氏もシラク大統領やブレア首相の考えを支持する旨、早々と表明されております。
そこで、大蔵大臣にお聞きしたいわけでありますが、宮澤大蔵大臣も去る十月三日に開かれましたG7、蔵相・中央銀行総裁会議で、ヘッジファンドに対する独自の対策を提案されたわけですけれども、この際、ヘッジファンドなどによります短期資本取引規制に関する宮澤大蔵大臣のお考えと、そして、そういった問題に対します今後の見通しにつきましてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) せんだってLTCMの問題につきまして、ニューヨークの連銀が音頭をとりまして各行が金を集めたということにつきまして寄せられました一つの批判は、ヘッジファンドはノンバンクである、そういう事実でございます。したがって、先ほど規制ということを言われましたわけでございますけれども、ノンバンクでございますから恐らくそういう規制というものがきちんとはないと思われます。あるとすれば、そこへ金を出した銀行側、これには検査もあるし、きっとそういう対応の措置も法的にある、法的といいますか、検査があるんだと思いますけれども、全体がそういう仕組みにできておると思われます。
この間もそのことはいろいろ議論になりましたけれども、これは私個人と申した方がよろしいかもしれませんが、基本的には資本の移動というのは、短期の移動でも私はなるべく制限しない方がいいというふうに本来考えておるわけです。ところが、先ほどからお話しのように、東南アジアの国の中には国をつぶされたと思っている国すらございまして、また実際上ジョージ・ソロスにやられなくても、後のIMFの処理でそういう結果になっているという国は確かにあるわけでございます。
問題は二つありまして、したがってそういう短期資本の動きに対してノーとは言わないまでも、その一種の現状を常に報告を求めるとかいうような、完全なディスクローズは無理にしても、内容がディスクローズされるということがやっぱり一つ何か必要であろう。
それからもう一つは、今度は、そういう短期資本の動きに対して全く抵抗もなく国がつぶれてしまうというようなことは何かの形で事前に防げないか。IMFは事後の処理でございますけれども、例えば我々資本を持っている国が資本を集めて、そしてそういう国から、そこはモラルリスクとかあるかもしれませんが、プレミアムをとって、いざとなれば我々が助けに行きますということにしておけば、攻撃にかかる方もこれは手ごわいということになりますから、その二つの方法をとって、そしてそのかわり短期資本は自由を許すと、こうでなければ結局短期資本そのものを規制するしかないということになりかねません。
しかし、ヘッジファンドがここまで来てそれをもとに戻すということは恐らくいいことではないだろう、こういうふうに私は物を言っているわけでございます。
C早期健全化スキームの必要性について
○岩井國臣君 私もヘッジファンドそのものを否定してみても意味のないことだと。我が国の場合は、やっぱりG7ですから、世界経済を引っ張っていかなきゃいかぬということがありますから、発展途上国といいますか成長国と同じようなわけにはいかぬ、こう思います。
しかし、現実にやっぱりそういう力が働いておる、私は悪魔の見えざる手、大体は神の見えざる手が支配していると思いますけれども、たまには悪魔の見えざる手というものが現実に働いておると。そのことが我が国の金融システムの不安をかき立てておるという面もあるというわけですね。それを言いたいわけであります。
そこで、野党の発議者に質問させていただきますが、野党の発議者にはそういった市場の暴力というものを十分勘案していただいて、ぜひとも早期健全化スキームの必要性について御理解をいただきたい。金融再生関連法案とやっぱり車の両輪ではないか、こう思うわけでございまして、御見解をお伺いしたいと思います。
○衆議院議員(池田元久君) 岩井議員にお答えをいたします。
早期健全化スキームについてお尋ねでございますが、我々今ここで御審議をいただいているのは金融再生法案。まずこの金融再生法案は、基本的には金融機関の破綻が国民経済や国際経済に与える影響を最小限に抑えて処理するための法案であります。これで最悪の事態に備えたセーフティーネットができたと考えます。
第二段階として、存続不可能な程度まで経営が悪化していない銀行に対しては選択的に破綻を未然に防ぐ措置があっていいと私は考えます。その意味では、再生法案と正しい意味での金融健全化対策が車の両輪と言うべきであろうと私も思います。
しかしながら、車の両輪と言うからには、両者は同じ思想、哲学で運営されなければ政策としてばらばらになります。厳格な資産査定、引き当てと情報開示による不良債権の短期集中処理、経営者や株主の責任追及、公的資金を注入した後の経営監視、リストラ計画などは最低限必要だと考えます。
その点、今自民党から出されております早期健全化法案は、厳格な査定もせずに、株主などの責任追及も不十分であると言わざるを得ません。我々、隠ぺい先送りの大蔵金融行政と言っておりましたが、まさにその延長線上にあるものでありまして、今御審議いただいている再生法案とは基本哲学が一〇〇%異なるものと考えます。
審議中のこの再生法案と自民党の早期健全化法案が両輪となった場合は、日本丸は脱輪をするのではないかという感じがいたします。この金融再生法案とまさに車の両輪となれるのは、基本哲学が同じであります、要するに厳格な査定、責任追及、そして思い切った資金の投入を盛り込んでおります民主党の金融健全化対策であると私は確信をしております。
また、岩井委員は市場の暴力ということを言われました。確かに、相場は相場に聞けと言っても、相場は乱高下するところがございます。では、相場の示すトレンドが間違いであるかと言えばそうではないと思います。しかし、委員が御指摘になっている市場の暴力というものはいろいろな要素があるであろうと、今おっしゃったように。
例えば最近の銀行株の下落について言いますと、かなりの部分は銀行の資産査定が不十分で、不良債権処理が進んでいないこと、またその結果ですが、自己資本が実質的にかなり傷んでいることに対する市場の警告であるとむしろ受けとめるべきではないかと考えます。
D我が国金融システムが力強く再生するための道筋と取り組みについて
○岩井國臣君 時間がなくなりましたので、与野党の発議者にもう一つ質問を考えておったのですけれども、まことに申しわけございません、カットさせていただきたいと思います。
やっぱりなかなか相場って難しいんです。そう単純じゃない。極めて難しい。やはり市場の暴力というものがあるということは認めざるを得ないと私は思います。現在の相場、為替相場は随分日本のファンダメンタルズをあらわすに近いところに来ておるのかもわかりませんが、株価はまだ違うと思います。私は、ゆがんでおると、こんなふうに思います。
この議論をしていてももう時間がございませんので、大蔵大臣にひとつ決意みたいなものをお伺いしたいわけであります。
現下の金融危機をとにかく一日も早く脱出しなきゃいかぬ。我が国金融システムが力強く再生していくための道筋というものをお示しいただきたい。それと同時に、それと取り組む大蔵大臣としての決意みたいなものをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今回のこの金融の問題につきまして二つのセットの法律案が国会に提出され、今、再生に関しては御審議が最終の段階に本院で入っておるわけでございます。これはいろいろ各党の御議論が長いこと衆議院でございまして、ともかく一つのまとまりになりました。
その中で一つの特色は、やはり銀行に対して相当いろんな厳しい条件を課さなければならない。それは、融資の分類、引き当てにしましても、あるいは経営についての責任にしましても、あるいは一般的なディスクローズにしましても、今まで考え方が甘いではないかという、そういう方面からの御指摘は、私は同感のできる御指摘だと思うのでございます。
続いて、今度は早期健全化法案が衆議院で御議論が始まったというところで、前者は、今この委員会で御審議になっておられます部分は主として破綻の処理、ぎりぎりそうでないところもございますが、概して破綻の処理でございます。これはこれでひとつこれからの問題の解決に非常に役立つと思います。
今度は破綻前の銀行、我が国の銀行がいろんな理由で非常に過少資本であるということから、これが世界に向かって、いわば今の日本が金融梗塞の発信地になっておると言われる部分でございます。これもぜひ成立をさせていただきませんと、これは二つ合わさりまして本当のことができるわけでございます。
その車の両輪であるということについては、発議者の方々も御認識をしていただいているように思いますが、問題は、どれだけその条件というものを厳しくすることが、現実的にこの法の目的を壊さずに可能かというあたりに議論は収縮されてくるだろうと思います。
それは、株式の評価にいたしましても、理屈からいえば低価法がきっとよろしい、その方が含みが出ますし。それから、第種類の債権の分類にしましても、それはなるべく厳しい方がいい、そういうことは理想としてはなるべく厳しくしていくのが本当だと思います。
ただ、今の日本のこの金融逼塞の時代に、それが急激に行われることによって貸し渋りを招く。それは債権分類を厳しくすれば、銀行は喜んで厳しく回収をいたします。それは直ちに貸し渋りでございます。そういうことがあってはいけないというのではなくて、現実の政策判断としてはどのぐらいまでが今の我が国における状況から適用可能であるか、妥当であるか。
低価法がいいということはわかっております。しかし、この選択を許すということもまだ世界的には認められている。今、急に低価法にすれば非常な圧縮になるということも明らかでございます。私は提案者の方のおっしゃっていらっしゃる基本の考え方について争うものではございません。
しかし、世界の現状の中で日本が金融梗塞の発信地となっている。これは国会で十分御議論をいただくことはもとよりよくわかっておりますが、G7では、今や日本の国内問題にはとどまらないんです、と言っていることはそうでございますから、そのことも院としては御審議に当たって御考慮を願いたい。
経営責任あるいは刑事事件があればもとよりでございますが、これを厳しく追及しなければならないということも、これももとよりでございますけれども、俗に言う金は出してやるから首を持ってこいというような受けとられ方をしますと、これは受けとる方が悪いんで、提案者が悪いと申し上げているのではありませんけれども、そういうことになりますと、なかなか実際法律は動かないということを申し上げたいと思うのでございます。
○岩井國臣君 最後に総理に一つ総括的なことをお聞きしたかったんですけれども、時間がなくなりましたので、またの機会ということにさせていただきます。
終わります。(拍手)
●第143回参議院金融問題及び経済活性化に関する特別委員会会議録第11号
平成10年10月16日
@市場というものに対する基本的認識
○岩井國臣君 いよいよ本特別委員会も最終ラウンドに差しかかってきております。発議者の皆さん方には大変な御苦労をいただきまして、この場をかりまして心から敬意を表し、厚くお礼を申し上げる次第でございます。
また、宮澤大蔵大臣におかれましては、終始熱心に大変な誠意を持って丁寧にお答えいただきまして、本当に心から感謝を申し上げたいと思う次第でございます。本当にありがとうございます。もう少しでございますので、最後までよろしくお願いします。
いろいろな議論をしてまいりましていろいろなことが明らかになってまいりました。しかし、私自身、どうしてもこの段階ではっきりさせておきたいといいますか、お聞きしておきたい点がございます。それがないと、どうも今晩からゆっくり寝られないような気がしますので、二点御質問させていただきたいと思います。
先般、民主党の発議者池田先生が私の質問に関連いたしまして、相場は相場に聞け──市場というものについてある種の信頼を寄せながらそういう、これは格言というか、相場の世界では普通にそう言っておるわけでありますが、相場は相場に聞けと。私は相場に対する一つの信頼感というものがそこにあるように思います。
私自身は、空売りの話とヘッジファンドの話をさせていただきました。ヘッジファンドというのは、かつてない特別のファンドといいますか、一般の投機筋とは違う特別の投機筋のように思うわけであります。株式相場の世界でやはり空売りということは昔から行われておった、いわゆるマージン取引でございますけれども、本当に相場を張ってもうけるのは空売りなんです。
したがって、そういう投機筋におきましては、相場は相場に聞けではなくて、人の行く裏に道あり花の山と言うんだそうでございまして、やはり裏をかくというそういうことをしょっちゅうやらにゃいかぬわけですね。それで株価は動いていく、こういうことであろうかと思います。
そういう意味で、私はもともと相場というものは余り信用しておりません。特に、近年はヘッジファンドが本当に、私は悪魔の見えざる手とこう言っておるわけですが、日本には悪魔はいないんですけれども西洋には悪魔がおる。悪魔の見えざる手とこう呼んでおるわけですが、そういう大変な暴力とでも言うべき力が市場に働く、マーケットに働く。したがって、市場というものが大変ゆがんでくるという、そういう現実が今あらわれておるように思うんです。
そういうことで、例えば為替相場について言いますと、百四十六円、百四十七円、百五十円に迫ろうとしているときでも、私は、日本のファンダメンタルズからいって百十円から百二十円あるいは百二十円前後かななんと思っておったんです。株式のダウ平均でいきますと、株式の方は、私は日本のこの力、ファンダメンタルズからいってやっぱり一万八千円ぐらいのところがいいところじゃないかな、何ぼ悪く見ても一万七千円、一万五千円を割るようなことはないだろうとずっと思っておったわけです。したがって、現在の状況につきましては、私はかなりゆがんでおるというふうに思うんです。
そういうことで、例えば自己資本比率の資産の評価、有価証券の評価について、低価法であるとか原価法であるとかいろんな議論があるわけですけれども、私はそういうことで、本当の、我が国経済のあるいは個々の企業のそういう実力というものをどのように評価するのかというのはなかなか難しい。乱高下する相場の中である時点だけぱっと切って、その時点の評価額で果たして評価していいものかどうかなと。いや、かといって、私は原価法がいいとかそんなことを言っておるんじゃないんです。わからないんです。ただ、時価の評価で、でもそれはちょっとやっぱりおかしいんじゃないかなと、じゃどうなんだと言われると困るんですけれども。土地の価格につきましても、最近は収益還元率でどうのこうのというようになっておるわけでありますので、何か真値があるんですよね、真値がある。それがちょっと私はよくわからないんです。
そんなことでございまして、市場、マーケットというものにつきましての基本的認識を発議者のお二人にお聞きしたいなと、こう思うわけでございます。ひとつよろしくお願いします。
○衆議院議員(保岡興治君) 先生が御指摘のように、相場というものが実態を離れて取り引きされるということは往々にして起こるんだと思います。もちろん、企業、金融を含めたそういった事業というものの実態を正確に把握して開示するという方法、手段も、これから非常に充実していかなきゃならないわけでございますけれども、同時に、市場も多くの関係者が考え判断し動く流れですから、それは七、八割、あるいはもっと高い水準で一般的には正しい、それを基本にするということはとても大事なことだと思います。
しかし、私は昨年の秋以来の経済、金融の動きを見ておりまして、北拓がつぶれたときに、日本の金融当局は銀行をつぶさないという原則を放棄したんじゃないかというようなことが世界に広がって、そしてやはり言われた投機筋が動いて、幾つかの銀行グループが慌てて株を買い支えて難をやっとのことで逃れる。そういうようなことから日本の経済が崩れていく。
彼らにしてみれば、何かのすきを見て売りをかけて、そして金融機関が持っている株あるいはそこの株というものを集中的に売る、そしてその結果日本の実体経済も崩れていく、その崩れの差額をもうける。こういうことでございますから、昨年の秋以来の日本の経済状況が崩れていく中でヘッジファンドに幾度かやられている。
私は、金融監督庁が発足する六月二十二日、その直前の十九日に長銀が売りをかけられて、それから長銀問題が一気になだれ打つように日本の金融界の大問題になっていく、こういった動き、そして長銀がまたいろいろ国会で議論される中で、次の標的をねらう動き、こういったことで日本経済を崩して差額をもうける、こういう大変な投機の動きがあったのは私は事実だと思うんです。
そういうものに対して、私たちは政策手段としてすきを見せないということがとても大事であって、今度の金融再生法あるいは金融安定化法というのは、破綻後の処理というものがきちっとできて、ちゃんとセーフティーネットが用意された、それから未然に破綻に至る前に金融の弱っている状況をちゃんと解決できる金融健全化スキームというものが今度用意された、このことはとても大きいことだと思います。
同時に、我々はそういう不公正な市場の動きに対して、先生も今言われましたとおり、空売り規制を前倒しをした今度の国会の措置、あるいはまた証券取引監視委員会等で監視を強化してちゃんと公正な市場になるようにチェックしていくということがまたとても重要なことでございます。そういった意味では、今、議員立法で空売り規制はあっという間にできましたが、二週間でできたんです、提案から施行まで。私はこれは大変なスピードだと思います。
監視委員会の数は非常に足りません。我が国は証券取引監視委員会のメンバーは三人で職員は百人、株を常時監視したり分析したりしているのは三十五人、これでは大変だと。アメリカなどは三千人も証券取引委員会、SECにいる。こういう市場の公正さを守る担保する手段というものも我が国は強く求められている。
こういうふうに議員立法あるいは政治主導でこういうものは進めていかないと、従来の役所が対応してきたようなスピードではなかなか私は変化の激しい、いろんなことが起こっていくこういう時代の変化についていけないものだと思います。そういった意味で、いろいろ市場の暴力に対しては未然にこれを防ぐという手段もとても大事だと思います。
○委員以外の議員(峰崎直樹君) 岩井委員にお答えします。
本当に市場というのは、私ども十分ここで語れるだけの資格を持っていると思っておりませんが、保岡議員の方からも今お話しありましたように、やはり市場というものに対しては絶えずオーバーシュートするという傾向があると思います。
私は、実はジョージ・ソロスというヘッジファンドの王と言われた方がある雑誌にもっと自由放任の弱肉強食の考え方を披瀝するのかと思ったら、いやいや、もっと国がきちんとこれを規制しなきゃだめだぞと。
先日も大蔵大臣の方から、ヘッジファンドが一国の民主主義国家を本当にある意味では経済的にめちゃめちゃにしてしまうというあり方に対して、やはりきちんと規制をする、そのことはこれから国際経済のルールの中でしっかり図っていくべき課題だと思います。その意味で、トービン・タックスというようなことも一時議論されておりました。これからぜひそういう方向で、投資ではなくて投機に対する規制というものは非常に必要になってくるのではないかというふうに考えています。
ただ、今回の長銀問題を含めた金融問題に関して言えば、やはりどこか弱点を持っているがゆえにこの市場の暴力に対してどうしても防ぎ切れない。やはりきちんとした体力をつける、本当にしっかりとしたどんな暴力にも抗すことのできる力をつけなければいけない。その意味で、私は、きちんとしたルール、それからそのことに対する検査、監視、そして何よりも情報公開というものが正しくされているということがやはり今必要になってきているのかな。
御存じのように、昨今の新聞によりますと、長銀は債務超過であったというようなことをお聞きして、我々が危惧していたことが本当になったわけであります。その意味で、私どもは、早く本当にきちんとした実態を明らかにする、そしていつでもその市場の暴力には対抗できるような力を持つことが必要なんだろうというふうに考えております。
○岩井國臣君 企画庁長官に、これからのビジョンとか新しい政策展開、例えばPFIとか、もちろんSPCを使っての土地の証券化であるとか、あるいはさらに言ってプロジェクトそのものの証券化だとか、いろんな課題があります。聞きたかったんですけれども、恐らく長官はおしゃべりになると大分時間をかけていただかなきゃいかぬと思いますので、これは場を改めさせていただきまして、きょうはちょっと中途半端に終わりそうなのでこれで終わらさせていただきたいと思います。まことに失礼でございましたけれども、ひとつまた次の機会ということでお許しいただきたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)
●第145回参議院金融問題及び経済活性化に関する特別委員会会議録第2号
平成11年7月9日
@長銀に対するヘッジファンドの六月攻勢についての認識、またヘッジファンドの恐ろしさの認識について
○岩井國臣君 ミスター長銀こと竹内宏さんでございますけれども、最近でこそ余りマスコミに出ておられませんが、かつては国民的人気の経済評論家であったかと存じます。
その竹内さんでございますが、長銀を退職されましてからずっと長銀総合研究所の理事長をしておられました。長銀の破綻とともに長銀総合研究所はベンチャー企業パソナグループに買収されましたので、当然、竹内さんは理事長をおやめになりました。たしか昨年の十二月ごろだったかと存じますが、竹内経済工房とかなんとかいうシンクタンクをおつくりになりまして、現在いろいろとおやりになっているんじゃないかと思います。
そのことはどうでもいいんですけれども、ずっと私が気になっておりますのは、その新しいシンクタンクをおつくりになるころ、長銀破綻の恨みを晴らしたい、そうおっしゃっていたという点でございます。新しいシンクタンクをおつくりになった理由の一つに、ヘッジファンドに対する恨みを晴らしたい、そういうことがあるようでございます。
基本的には、長銀はまことにずさんな経営をしていたということでありますので、破綻の原因は長銀自身にあった。そのことは言うまでもないことでございますけれども、長銀の病的な傷、その傷をこじあけて死に至らしめたのはヘッジファンドであるというのが竹内さんの見方のようなんですね。つまり、ヘッジファンドのいわゆる六月攻勢、これが致命傷になった、長銀はヘッジファンドによってとどめを刺されたということのようでございます。
さて、そこで質問でございますけれども、まず最初に、ヘッジファンドの恐ろしさについてでございます。長銀を例に質問いたしますけれども、これは単なる一例でございまして、念のために申し上げますけれども、こういったことは一般的に行われる可能性があるということかと存じます。
そこで、六月攻勢のことでございますが、長銀の場合、株価が急落した昨年の六月十七日から二週間の間に、新聞に出ているだけでも、ソロモン七百三十万株、モルガン千百三十万株、ゴールドマン・サックス千三百七十万株、メリルリンチ六百九十万株と大量の売りを浴びせております。もちろん売りのみで、買いはほとんどないということでございます。そういった売りについては多分ヘッジファンドがお客さん、こういうことだろうと思います。
そこで質問でございますが、長銀に対するヘッジファンドのいわゆる六月攻勢について政府はどのような認識を持っておられるのか、ヘッジファンドの恐ろしさというものをおわかりいただいているのかなということでございまして、まことに恐縮でございますが、大蔵大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 金融再生委員長の方から。
○岩井國臣君 どちらでも結構でございます。
○国務大臣(柳沢伯夫君) 長銀の破綻に至った背景と申しますか理由について、今、岩井先生の方から、OBである竹内宏さん、たまたま私の同郷の著名なエコノミストでありますけれども、彼の言説を引いてのお尋ねでございます。
ただ、私がまずその点について申し上げますと、承知しているところでは、竹内さんは長銀の破綻の背景というか理由というものをもっと構造的にとらえている論文も同時に発表されておられまして、私もそれを読ませていただいております。
要するに、長銀はいわゆる金融債による資金調達によって日本の成長産業の大きな柱になったところの重厚長大型の重要産業に対して長期資金を提供しておった、こういうことであるけれども、まずその金融債の資金調達面においては、戦後国債が発行されるようになってから大変な競争相手があらわれてきて、金融債に投資をしてきた人たちのマーケットというものを独占できなくなった、そういうことが一つあった。
それからまた、他方、重厚長大型の大企業というものは、もともとがだんだんソフト産業に移行する中で日本経済におけるウエートを下げていったけれども、同時に彼らは資金調達の手段を多様化してみずから直接市場から資金を調達するというようなことを始めたので、この面でも長期信用銀行の活動の範囲というものが構造的に縮小されていった。
これが、長期信用銀行がなかなかその業務において難しい局面に立たされ、そしてそれのいわば脱出口として中小企業者あるいは不動産融資というようなものに流れていった。それがまたバブルの時期に当たってしまって今日のような事態を迎えた、こういうようなことを申されております。そういう論文が本人においてもこれは破綻後でございますが書かれております。
そういったことについてのいろいろな言説というものがマスコミにあらわれて、そしてそれがトリガーになって、いろいろそういう市場でもって先行きを見通してそれに攻勢をかけていくというような資本の動き、やや投機的な資本の動きというものが株価の急落を招いて資金繰り的にも厳しい状況に立たされていったということが、長銀の大体の今日に至る構造的及び現象的な経過ではないかと思います。
すべてがそういう短期資金あるいは投機資金の動きが原因であるというようなことではなくて、私どもは、その全体の過程というものをしっかり視野に置いて今後の金融システムの安定と活性化のためにどういうことを考えていったらいいかということで今取り組ませていただいておるところであります。
A金融資本市場における政府の関与のあり方について
○岩井國臣君 金融機関自体の経営責任あるいは行政の責任、いろいろ質問させていただきたいこともございますし、通告もさせていただいておった部分があるんですが、時間がなくなりましたので、冒頭に申し上げましたヘッジファンドにつきまして二、三質問させていただきたいと存じます。
最近でこそいろいろとヘッジファンドのことが問題になってきておりまして、規制の必要性というものが真剣に議論されるようになりました。しかし、当時はマスコミも多くの経済学者も大体は市場万能主義で、新古典派が言うところの市場原理がもてはやされておった、そして長銀をたたいた、長銀に対する同情なんて一かけらもなかったように思います、今もないのかもわかりませんけれども。私ももちろん長銀のずさんな経営には大変な憤りを感じますけれども、それと同時にヘッジファンドに対する憤りというものも感じるのでございます。
昨年の金融経済特別委員会、それからことしの予算委員会及び財政金融委員会でも、それぞれ何らかの形で私はヘッジファンドの問題に触れさせていただきました。金融資本市場というものは、近年、金融技術の高度な発達とともに、あるいはまたいわゆるグローバリゼーションによりまして、一つの大きな流れといいますか流行になりました。国際レベルですばらしい経済発展をもたらしていくんだとされてきております。そのメリットというものが大変強調されてきた。しかし、現実に起こったことは、株式などの資産価格の変動だとか行き過ぎ、ボラティリティーだとかオーバーシューティングなんて言われていますが、そういったことでございまして、実体経済に大変なデメリットを与えるようになってきているのではなかろうかと存じます。ヘッジファンドは、その動きに多くの投資家が追随するということがございまして、市場を何とでも操作できるんではなかろうか、そんな心配もあるんです。そういうことで、最近では理論面、実証面でいろんな研究も進んできているようでございます。
理論面では、株価等の金融資産の価格が自己増殖的に変化いたしまして理由のつかない価格変動をもたらすんだというカオスの理論、それから誤った情報等によって価格が大きく変動するというノイズの理論、そんなものがいろいろとあるんです。カオスのことにつきましては私はさきの財政金融委員会で少し触れましたけれども、ともかくこういう新しい理論が最近どんどん出てきておる。勉強する側も大変だと思います。
そこで、質問でございますが、カオス理論とかノイズ理論を踏まえまして、市場の失敗とかヘッジファンドというものに対する基本的な認識を教えていただきたいわけでございます。それでまた、金融資本市場における政府の関与のあり方につきましても御見解をお聞きしたい。これは大蔵大臣にできればお答えいただければと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般に、市場の論理というものは市場に参加する人々が合理的に行動するはずであるという前提に立っておると思います。
しかし、現実には必ずしもすべての参加者が合理的に行動するとは決まらない、誤った情報に基づくこともありましょうし、誤った判断に基づくこともあると思います。そういう場合には、市場が予想されたとおりの反応をしないことになります。また、場合によっては市場外の条件があって、それによって市場の論理というものがそのとおり影響を受けて動かないこともある。そういうことをあわせまして、カオス、ケーオスだとかあるいはノイズだとか言っておるんだと思います。
そのことは、基本的には私は人が誤って行動するということについてそれを防ぐ方法というのは大変に少ないと思いますが、はっきり言えることは、情報が正しく与えられるあるいはディスクローズされるということが比較的そのことを防止するのに役立つのだろうと思います。
したがいまして、政府の機能というのは、市場が合理的に行動していないときに市場が合理的に行動し得るような状況にそれを戻すことであろうと思います。しかし、国が株式市場に直接介入するというようなことは普通はないことでございます、恐らくあっていいことではない、為替市場には時々ございますけれども。
したがいまして、国の仕事は、市場が正常の運営に戻るような何らかの措置及び基本的にはディスクロージャーによってそのような間違いが起こらないように、これは国の責任だと思うのでございますが、そういうことではないだろうかというふうに考えております。
先ほどからヘッジファンドのお話がございまして、いわゆる私どものG7各国の大蔵大臣が何度もこの議論をいたしておりますけれども、投資はいいが投機はいけないということはだれも言い切れないわけで、その区別を言ってみろといっても言えないものですから、結局今G7はやっぱりディスクロージャーということが一番大事なことだというようなところにおりますのはそういうことではないかと思います。
B現状の政府の情報収集機能について
○岩井國臣君 そのディスクロージャーの件ですね。ヘッジファンドに融資している銀行の情報開示の問題、銀行自体それからさらに突っ込んでヘッジファンド自体の情報開示の問題、両方ともさきのケルン・サミットで議論になったんじゃないかと存じます。しかし、私ども大方の期待に反しまして、ヘッジファンドに対する直接規制については見送りになったというふうに報道がございました。この問題はいずれまた別の場でお聞きさせていただきたいと思いますが、時間もございませんので、本日は政府の失敗に関連いたしまして一つだけ御質問させていただきたい。
ヘッジファンドでありますとかあるいは空売り等の情報も含めまして、先ほど大蔵大臣申されましたように、政府関係機関の市場に関する情報把握というものがおろそかになりますと、やはり政府の失敗というものを招きやすい。したがいまして、まことに情報の収集、分析、判断というのが非常に大事だろうと思うんです。政府の情報収集機能というものが現在どうなっているのか、その辺御説明いただければと思います。
これもどちらにお聞きしたらいいんでしょうかね、大蔵大臣か、委員長か。
○国務大臣(宮澤喜一君) いろいろ関係者から報告を求めるということは当然政府はやれますし、またやっております。
それから、政府でありませんでも、例えば取引所のようなところがございます。これは会員の任意の組織ではございますけれども、そういう任意の組織としての取引所はやっぱり会員の行動についてある種の責任を持ち、また会員は自分たちの組織に対してある種の義務を負っておりますから、そういう形で取引所が情報を収集するというようなことはしばしばございまして、そういう中でできるだけ取引が正常に行われるということを確保しようとしておると思います。
○国務大臣(柳沢伯夫君) これは私直接の所掌ということではないのかもしれませんが、今金融の行政組織の系統というのが若干不分明なところもありますので、私も今の質疑に対してお答えする義務があるのかなと思っておりますが。
今、監督庁の方でモニタリングということを始めるということが検討され、もうそろそろ始まるころではないか、このように考えております。
このモニタリングというのは、いろいろなリスクが金融機関の中にあるわけですが、一番わかりやすいのは今現在問題になっておる信用供与についてのリスク、いわゆる信用リスクということでございます。しかし、最近になりまして、それ以上に大きな影響力を持って、場合によっては金融機関を破滅に追い込んでしまうような大きな力を持ったリスクとして、市場リスクというものがございます。その市場リスクの中に今言った市場物と申しますか、市場で取引されるいろいろな金融商品の価値が大変な幅で上下するという問題等があります。これについてモニターする、さらにいろいろな事務的なリスクというものがありまして、これについてもモニターする。もうちょっと細かくあるわけですが、大ざっぱに分けますとこの三つのリスクというふうに総括していいと思うんですが、これらについてこれからはきちっとしたモニターを金融機関に関する限り行っていく、こういう体制ができ上がりつつあるということもあわせて御報告をしておきたい、このように思います。
○岩井國臣君 終わります。
どうもありがとうございました。(拍手)