蘇民将来

そみんしょうらい

 

護符の一種。晴明判(魔よけの星象)や〈蘇民将来子孫〉などの文字を記した六角柱または八角柱の短い棒で,房状の飾りや紐をつけて帯に結び下げるようになったものもある。

 

正月に,牛頭天王(ごずてんのう)と縁の深い京都の八坂神社はじめ,信濃国分寺八日堂,愛知の津島神社,新発田の天王社など各地の社寺で配られる。

また岩手の黒石寺薬師堂では,正月7日に蘇民祭といってや数百本の六角形のヌルデの木が入った蘇民袋を裸の男たちが東西に分かれて奪いあう行事があり,これを得たものはその年幸運であるという。

 

蘇民将来には,紙や板の札に〈蘇民将来子孫之門〉とか〈蘇民将来子孫繁昌也〉と書いて,家の戸口に貼って魔よけとしたり,畑に立てて虫よけとする風もある。

 

《備後国風土記》逸文には,旅に出た武塔神(素戔嗚(すさのお)尊)が宿を請うたところ,富裕な弟の巨旦(こたん)将来はことわったが,貧しい兄の蘇民将来は宿にとめ歓待したため,茅の輪(ちのわ)の護符を腰につけるように教えられ疾病を免れたと語られている。この説話は旧暦6月の夏越(なごし)祭の茅の輪行事の由来譚ともなっているが,同様なモティーフは猟師の間で伝えられる磐司磐三郎譚などの兄弟譚にもみられる。

 

また《刃辛(ほき)内伝》の牛頭天王縁起には,五節の祭に〈蘇民将来子孫也〉と記して,信教すれば無病息災であると記されている。

 

蘇民将来につけられる晴明判などからみて,この蘇民将来の護符の伝播には修験者や陰陽師などの宗教者の関与があったことが考えられる。

        飯島 吉晴

 

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